「アルコール依存症の末路」の続きです。
今回はお酒で病気になり健康を失い、死にかけた人、死んでしまった人の体験談をいくつか挙げてみます。
アルコール依存症の末路、お酒の飲み過ぎで病気に
「酒は百薬の長」といわれますが、それは毎日1合程度やビール一杯と軽く飲んだ場合ですね。軽い酔いでストレス発散し、毛細血管が拡張し血液の循環がよくなり、健康にいいとされています。
しかしアルコール依存症や大酒飲みと言われるほど飲んでしまうと、逆に健康がそこなわれます。
【あわせてよみたい】
⇒アルコールによる肝臓の病気、肝炎・肝硬変・肝臓がんは死につながる
アルコールにより60種類の病気になる可能性が
アルコール依存症にもなると、全身に60種類もの病気が発生するといわれています。
アルコール関連問題
厚生労働省みんなのメンタル より引用
アルコールに関係した問題のすべてはアルコール関連問題と呼ばれ、これにはさまざまな健康問題や社会問題が含まれています。
健康問題に限っても、世界保健機関(World Health Organization:WHO)は、60以上もの病気や外傷がアルコールによって引き起こされていると報告しています。
しかし、アルコール依存症や大酒飲みは「わかっちゃいるけど止められない」状態になってしまいます。
アルコール依存症の病気の例
お酒の飲みすぎで病気になった人を大勢みてきました。その一部を紹介します。
皆さんは酒を控えてこのようにならないようにしましょう。
逆流性食道炎、現在減酒治療中
同じ断酒会に来ている、先日登場したAさん男性60代、減酒治療中の人の体験談です。
この方は酒飲み時代に逆流性食道炎という病気を患っています。食道の入口のほうが荒れて、縮こまっているそうです。
たびたび胃から食道へ嘔吐物が逆流し、かなり辛いそうです。
胸やけも頻繁に起こるため、薬が手放せないとのこと。
アルコール依存症で病気になり、健康を失いました。
胃がんや食道がんで命にかかわる病気に
AAで出会った男性・50代(独身)の人はアルコール依存症で、飲み過でがんを患ったという人の体験談です。
食道がんから胃がん、肝臓がん、すい臓がんへと転移し、生きているのが不思議なほど内臓ががんだらけだったそうです。
消化器系のがんは、お酒の飲み過ぎが原因なことが多いです。
アルコールはアルコール脱水素酵素(ADH)の作用でアセトアルデヒドに変わり、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)の作用で酢酸に代わります。
アルコールとアセトアルデヒドには発癌(がん)性があり、このふたつの酵素の働きが弱い人が飲酒家になると口腔・咽頭・食道の発癌リスクが特に高くなります。
厚生労働省e-ヘルスネット より引用
口腔・咽頭・食道の癌は一人に複数発生する傾向があります。
本人は「内蔵のほとんどを入れ替えた」と豪語していました。
この方も酒のせいで命にかかわる病気になりました。
アルコール依存症で食道静脈瘤・肝臓がん
Bさん男性51才(独身)、お母さんだけ断酒会に来ている方の体験談です。
Bさんは30代後半にアルコール依存症と診断され、ほぼ断酒無しで現在51歳くらいです。
毎日部屋で飲んだくれるため、筋力がほぼなくなり、トイレにすらいけない始末。
トイレを漏らすため、今は成人用の紙オムツをしているのだとか。
肝硬変になり、そのため食道静脈瘤が7つもでき、入院して手術を行いました。
しかし、検査で発見されなかった静脈瘤が破れ吐血。
たまたま病院内だったため、緊急手術で命を取り留めましたが、今度が肝臓がん。
肝臓がんが2つも発見され、余命数か月。酒が原因で命にかかわる病気に。
お酒で人生を棒に振りました。
アルコール依存症の末路です。
(彼は半年後に末期がんと診断され、亡くなりました)
脳萎縮
アルコール依存症で治療のため、精神病院の同じ病棟に入院してきた人の体験談です。
脳の萎縮がひどいのか、もうすでにまともに日本語をしゃべれず、意味のわからない独り言をずっとしゃべり続けます。
看護師がゆっくり喋るとなんとか理解力するものの、もはやペットの犬レベル。
チンパンジーのほうが利口なのではと思うくらいで、もはや人間ではありません。
ほぼ大脳が機能してないように思えました。人間を失いました。
この方もアルコール依存症の末路です。
末梢神経障害・大腿骨頭壊死
まだ47才の若さの女性の体験談です。
アルコール依存症の症状の末梢神経障害で左腕から先は動かず、身体に添えたまま。
大腿骨頭壊死でうまく歩けず、いつもびっこをひいていました。
髪は白髪でぼさぼさで、肌は肝臓が悪いのでしょう、おばあさんのように茶色です。
ずっと60代かと思っていました。まだ47歳だと、年を聞いて驚きました。
私とほとんど変わらないのです。早すぎる老化です。
彼女は酒で健康と美貌を失いました。
アルコール依存症だと思われる男性42才、死亡
30代~40代初めまで、よく一緒に飲み明かした学校の先輩の体験談です。
肝臓が悪いのに10年間毎日飲み続け、肝硬変になり、肌は茶色、目は黄色に。
数年で別人のような姿になってしまいました。
病院から止められていても酒は止めず。この時点でアルコール依存症だったのでしょう。
実はB型肝炎で、酒を止めて治療しなければならないのに飲み続ける。
最後には肝硬変で腹水がたまり妊婦のような腹に。
それでも酒を止めず、結局中学生の娘2人残して死亡。
42年の短い人生、この方は命を失いました。
筆者は運動をしていたためか健康
私の体験談は、というと何回も、10回くらい繰り返し精神病院に入院したのですが、なぜかいつも採血結果は良好、ちょっと中性脂肪が多いかなという程度で、病気にはなりませんでした。
理由として考えられるものの1つは、毎週格闘技のジムにいって身体を動かし、プロテインとビタミンCを欠かさず飲んでいたからかもしれません。
もう1つは、連続飲酒に入ったら1週間もしないうちに妻に病院に突っ込まれるのです。身体が壊れる前に病院です。
そのため、身体が壊れてないので酒を止める強い理由がなく、再び再飲酒と再入院を繰り返していました。
お酒の飲み過ぎの悪影響
極端に病気にならなくても
- 飲めば運動量が減るため筋力が低下
- 肝臓がアルコールの代謝で手一杯になるため、他の毒素や栄養が代謝できない
- 日本酒やチューハイだと常に血糖値が高くなるため、インシュリンを出すすい臓がバカになって糖尿病になりやすい
などの危険があります。
飲み過ぎと思う方はアルコール量を減らしましょう。
まとめ アルコール依存症の体験談 逆流性食道炎、がん・・・
アルコール依存症になると入院やなにか事故を起こすまで飲み続けます。
運動ゼロ、歯磨きも、風呂も入らず、飲み続けます。
ろくに食事をとらない人が多く、内臓や脳がどんどん壊れていきます。
アルコール依存症は断酒することによりやっとまともで人間的な生活を送ることができるのです。
酒飲みの方は命にかかわる病気にならないうちに、酒を控えましょう。
最近ですが「断酒」ではなく「減酒」といって、酒飲みやアルコール依存症の初期の人が酒量を減らすことによって健康被害を減らそうという治療が始まりました。
【参考記事】
⇒アルコール依存症の新しい治療法【セリンクロ】による減酒治療の効果
糖尿病、肝硬変、大腿骨頭壊死などは一旦なると治らないので要注意です。