アルコール依存症は悲惨な人生をおくる人が多いです。
もちろん職場はクビになり失職します。
家族は最初は助けてくれるのですが、だんだんと見放され、最後には離婚になる人が後をたちません。
そうして独りになり、にっちもさっちもいかない状態を「底つき」といいます。
精神病院に入院していた患者の半数以上はバツイチでした。
アルコール依存症は離婚して家族を失う人が多い
断酒会に、息子さんがアルコール依存症でもう何年も断酒会へ通われている母親が何人もいます。
アルコール依存症の息子のほうは30~50才、それ以上の場合もあるので、母親は60才~70才すぎてます。
自分の子供がアルコール依存症の場合、なんとかしよう、なんとか断酒させようとして、母親は諦めずに断酒会に通われます。
しかし、配偶者、夫がアルコール依存症の場合、何年かはがんばるものの、結局あきらめて離婚するケースが多いようです。
離婚を考えた理由・離婚した理由(女性)
医療法人淳信会 まさこメディカルクリニック より引用
特に精神的・肉体的虐待、アルコール依存症は、離婚を考えた理由のパーセンテージと比べて2倍以上あり、離婚した理由の中でも特に考えていかなければならない問題と考えられます。
「離婚を考えた理由」「離婚した理由」(女性)
グラフのように、「離婚を考えた理由」より「離婚した理由」がはるかに多いのが「離婚した理由がアルコール依存症」のケースです。
上側の「家庭を顧みない」「精神的・肉体的虐待」などもアルコールが絡んでいるかもしれません。
アルコール依存症の家族は苦労が絶えない
アルコール依存症の家族は、外部からは見えない想像を絶する苦労をしています。
暴力、息子娘が働かず昼間に酔って酒を買いに行くのを近所に目撃されたれ、警察沙汰になり警察から電話があったり、救急車を呼んだり、酒を隠したら暴れて「ナタ」を持って脅されたり。
実の子を精神病院の閉鎖病棟へ入院させたり、若いのに糖尿病になったり肝硬変や肝臓がんになったり、ずっと独身で結婚できなかったり、普通の家庭ではあり得ないことが次々と起こり、家族を悩ませます。
親は諦めないが、夫婦は諦めるケースが多い
しかし、腹を痛めた息子がアルコール依存症でどんなに悲惨な目にあっても、断酒するまで諦めない親が少なくありません。
それと比べると、そもそも赤の他人の夫婦は離婚に至る可能性が多いわけです。
アルコール依存症の末路はどうなるの?
私が10年ほど前、うつ病で症状がつらくてアルコール漬けになってしまい、手や足がガクガクになってしまうアルコール離脱症状に見舞われました。
看護師の妻が「これはおかしい」と通っていたクリニックを受診すると、主治医に
「あなたはアルコール依存症になっています。
このままでは会社クビ、離婚、独りになり、最後は酒にまみれで
孤独死ですよ。
どうします?酒を取りますか?
それとも家族をとりますか?」
と、アルコール依存症には究極の質問をされました。
心の中では「酒!」と思ったものの、妻がいる手前「・・・・・・家族」と答え、一命を取り留め、いや離婚を回避しました。
断酒会の中でも医師に同じような質問をされた方がいました。
その人は「酒!」と答えてしまいました。
一発離婚でした。
●「私とお酒どっちが大事?」
健康・医療 from 日経Gooday より引用
「私のところには夫婦で訪ねてくる方が多いのですが、その際、お酒がやめられない夫に対して奥様が『私とお酒とどっちが大事なの?』と聞くと、間髪入れずに『お酒』と答える方もいます。
ここまで来るともう即入院レベルのアルコール依存症といっていいでしょう。
ご想像できると思いますが、こうなると高い確率で離婚です。実際、アルコール依存症の方は離婚率が高いことでも知られています」
女性のアルコール依存症の末路
同じ断酒会のAさん40代(女性)の話です。
彼女は何年もスリップ・再飲酒 → 入院 → 断酒を何回も繰り返していましたが旦那がとうとう我慢ならなくなり離婚。家族はバラバラになり夫を失いましたが、お子さんは引き取りました。
離婚で底つき
小学生の娘2人が奥さんのほうに引き取られ、実家に帰りました。離婚で底つき(にっちもさっちもどうにもならない状態)したのか、酒をきっぱりやめ現在は断酒を続けている様子です。
離婚までしないと酒を止められない、アルコール依存症は怖い病気です。
離婚で家族を失う体験談
Bさん50代(男性)、酒気帯び運転で新聞で叩かれた消防士の人です。
アルコール依存症と診断された後、奥さんと離婚し、子供とも別れ、家族を失いました。 しかし断酒を始めたら、元奥さんも協力して共に断酒会へ出席されていました。
しかし、例の東北大震災復興作業で疲れ果て、PTSDになり再飲酒が始まりました。
【参考記事】
⇒飲酒運転はアルコール依存症の症状 公務員で捕まった人の例
すると奥さんは「2度と助けない」と来なくなりなりました。「もう少しで復縁ではないか」と噂されていたのにまた独りです。
結局、最後には酒瓶に埋もれてひとり孤独死、悲惨な人生でした。
アルコール依存症が家族を失う悲惨な末路
Cさん当時30代(男性)は学校で教師をやっていました。
ビールの飲みすぎでガンマーGTPが800超える始末。本人はめったに来なかったですが、両親は定年されているため毎週断酒会へ来ておられました。
しばらくして、父親は息子が酒を飲まないようとわざわざ畑仕事を始めました。数か月経ち、土日の畑仕事の日は昼間飲まないため酒量が減り、ガンマーGTPも400くらいにまで下がりました。
ある日、父親が畑のうねを跳び越すときにひっくり帰って後頭部を打ち付けました。 頸椎を損傷し、顔以外はまったく動けない状態になってしまったのです。
一度お見舞いにいったのですが、目は動き視線はこっちを向くものの、喋ることすらできない様子。唇が少し動くので、そこへ小さなナースコールを設置し、唇で押す。そんな地獄のような状態で入院生活を送っていました。
1年後、お父さんは亡くなりました。
アルコール依存症で家族を失う、2次的な被害といえます。
むごいですね。息子のために頑張っていたのに、親のほうが悲惨な目に合ってしまいました。
しかし、当の本人は酒を止めずにまだビール飲んでいるそうです。
酒を止めるか減らすか
精神病院で患者に聞いても、アルコール依存症はバツイチが多かったです。
下記の離婚テラスでも述べているように、飲酒行動を変えなければ問題が解決しないのです。
離婚して初めて自分の飲酒に問題があることに気がつき入院する、といったアルコール依存症患者は多いと思います。
アルコール依存症は、本人が自覚していなかったり、薄々自覚していても、それを認めないことが多かったりします。
家族のためのADRセンター離婚テラス アルコール依存症と離婚問題 より引用
しかし、本人がアルコールに関して問題があると認め、飲酒行動を変えなければ、症状が改善することはありません。
もちろん、飲酒を原因とする夫婦間のいろいろな問題も解決しません。
そこまでいかないように、家族を失うほど飲まないために、飲酒欲求を抑える「レグテクト」という薬があります。
筆者もずっと飲んでいますが、「酒を止めたい」と思ったら効きます。
「酒を飲もう」と思えば飲めます。
アルコール依存症者にはたいてい処方される薬です。
レグテクト・ジェネリック
\ 飲酒欲求を抑える薬 /
今回はアルコール依存症の末路、家族を失う悲惨な体験談を書いてみました。
まとめ アルコール依存症体験談 離婚で家族を失い底つき
アルコール依存症の家族(肉親)はいつまでも頑張ってくれますが、夫や妻はある程度で我慢できなくなり、離婚するケースが多いようです。
男性の場合、妻も子供も離れていくため、独りになってしまいよけいに飲酒量が増え、孤独死する場合もありますし、そういう人が実際にいました。要注意です。