たびたび記事に登場したAさん(50代男性)の事例です。
彼は30代、つまり20年前からアルコールの問題飲酒がはじまりました。
そのため、母親が断酒会へ通うようになりました。
30代の若さでアルコール依存症



筆者が当断酒会に通い始めて10年、それよりも昔の出来事なので実際にこの目で見てはいないのですが。
そのころは、彼はお母さんと一緒に断酒会にきて、他人のお世話をするくらい断酒に励んでいたようです。
しかし、断酒を継続できずにスリップし、それ以来、断酒会に来ることはなかったとのこと。
筆者が通い始めたころは、もうお母さんの姿しか見えませんでした。
熱心なお母さんが断酒会に通い続ける



お母さんのほうは熱心で、アルコール依存症の息子をなんとか立ち直らせたかったのでしょう。ほぼ休むことはなく断酒会に通っていました。
しかし、息子さん、つまり本人の様態は日々悪くなっていきます。
父親とは仲が悪かったらしく、食事の時間をずらしたり、部屋の前に食事を置いておくといつの間にか食べている。
あとは引きこもって酒を飲んでいる、そんな状態だったとのことです。
高齢者でもないのに床ずれが
ある時から完全に引きこもり、食べて飲んで寝るだけの生活に。
お尻や床ずれができるような状態だったとのこと。
床ずれは、「寝たきりの老人が寝返りをうてない」ため、布団に圧力がかかっている皮膚の部分がただれる症状ですが、50代で床ずれで骨が見えるような状態になっていたらしいのです。
一人でトイレに行けない



酔っぱらって自分の部屋の中を歩けないのです。
お母さんは1階にいるのですが、「ドターンッ」という音がしばしば聞こえてくる。自分の部屋をうまく歩けずにひっくり返っているらしいのです。
そしてトイレに行けない。1階でご飯を食べた後、茶色いものがポロポロ落ちている。よく見ると便だったそうです。
もはや感覚がないのか、肛門括約筋が働いてないのか、そういう状態だったとのことです。結局、「紙おむつを買ってくれ」とお願いされる始末。
女性にはなぜかモテる
それでも何故か女性とは縁が切れなかったらしいのです。
自分で酒を買いに行けないのに酔っている。不思議に思ったお母さんがよく見てみると、彼女と外に出て、帰ってきたらポケットが膨らんでいる。どうやら女性が酒を差し入れしていたようです。
内臓のほうはというと肝硬変で腹水が溜まるような、アルコール依存症の末期に近づいていました。
アルコール依存症から食道静脈瘤に



昨年のはじめ頃だったか、何かで検査を受けたらしく、「食道静脈瘤」が7つも見つかりました。
その7つは手術で取り除いたのですが、実は検査で見つからなかった静脈瘤が2つ残っていたのです。
入院中に静脈瘤が破れて吐血。緊急手術を受けて、命はとりとめました。
入院している間はアルコールが飲めないため
「このまま断酒すればいいのに」
と、お母さんも断酒会メンバーも口々に言っておりました。
しかし、退院すると再飲酒が始まったのです。
アルコール依存症から肝臓がんに



昨年の秋ごろ、肝硬変で腹水がでて身動きがとれず、再入院しました。
肝硬変のため意識が混濁し、お母さんとラインのやりとり、例えば「〇〇のお菓子を買ってきてくれ」と頼まれて、昼頃に買って行っても、本人はもう覚えていない、そんな状態だったようです。
そして肝臓の精密検査をしたところ、肝臓がんが2か所見つかったとのこと。
肝硬変 → 食道静脈瘤 → 肝臓がんと、アルコール依存症の教科書どおりの病名がついていきます。
主治医には「あと1、2カ月でしょう」と余命宣言。
ところが本人は、アルコールが飲めないのが良かったのか、少しづつ回復していったかに見えたのです。
アルコール依存症で50代の若さで死亡



つい先日、断酒会でお知らせがありました。
A氏が51歳で永眠したとのことです。
まだ原因は聞いてないので肝硬変なのか肝臓がんなのか多臓器不全なのかわかりません。
アルコール依存症の平均寿命通りの若さで死亡されました。
アルコール依存症とは、一言でいえば、進行性で死に至る病です。
NPO法人宮崎県断酒会 より引用
まさかと思われる方もいると思いますが、日本人の平均寿命は82歳になろうとしているのに、アルコール依存症者の平均寿命は約51歳です。
お母さんの20年間にもわたる努力は、実を結ぶことはありませんでした。
もしかしたら、20年間の肩の荷がおりてほっとしたかも知れません・・・・・・
アルコール依存症で50代の若さで死亡した事例でした。
食道静脈瘤、肝臓がんで死亡したアルコール依存症 まとめ
お酒のせいで50代という若さで死亡した事例でした。
Aさんはがんとして精神病院へは入院しませんでした。
1回でも入院していれば、もしかしたらその後が違っていたかもしれません。
Aさん自身には断酒する機会が何回もありました。
何度も入院しているため、酒が切れているの状態でそのまま断酒をすればよかったのです。
しかし、退院して間もなくすると再飲酒が始まります。
20年間、お母さんも死に物狂いで頑張ったでしょう。
親に心配ばかりかけて親孝行のひとつもできない息子はどうかと思います。