アルコール依存症の知人の体験談です。
断酒して健康を取り戻した人、命を落とした悲惨な人などさまざまな体験を聞きました。
そのうちのひとつの話です。
Gさん夫妻の息子さんが、アルコール依存症でした。
息子さんは実家通いで、中学校の音楽の教師をしていました。
当時はまだ30代だったように覚えてます。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
ビール党のアルコール依存症
息子さんは学校から帰宅するとすぐ、缶ビールをプシュッとあけて飲み干す。
寝るまでに10本は飲んでいたというのです。
肝臓の数値、γーGTPも上がり、400を超えはじめました。
アル中からすれば400など大した事ない数字なのですが、基準からすれば大幅に高い。
Gさん夫妻は、なんとかして息子さんの酒を止めさせようと、うちの断酒会に毎週来るようになりました。
2人とも元気よく、活発に発言されていました。
父親が酒を止めさせようと頑張る
息子さんも1回くらいは断酒会で見たような気がしますが、それ以来見たことがないのです。
頭は少し薄く、坊主に近い髪だった覚えがあります。
とにかく、お父さんのほうが熱心でした。
息子と一緒に畑仕事をすれば飲む量が減るだろうと、畑を借りました。
それから毎週日曜日、お父さんと息子さんとで畑にいって農作業をしていたようです。
アルコールの量が減ってくる
ビールも1日3~4本と、減ってきました。良い傾向だと、断酒会会長は言いましたが、それでも、ゼロにはなりませんでした。
ある休日、お父さんと息子さんはいつもの畑仕事に汗を流します。
お父さんは、畑のうねを飛び越えて隣の畑に行こうとしました。
しかしうまく飛び越えられず、後ろにひっくり返ってしまったのです。
ひっくり返って落ちたところが土ならよかったのですが、そこにちょうど大きな石が。
お父さんは首の後ろを固い石で打っちました。ピクリとも動かなくなったので、息子さんがあわてて救急車を呼びます。
病院に運ばれ、レントゲンを撮られ診察された結果、「脊髄損傷(せきずいそんしょう)」でした。
下半身はおろか、首から下の上半身まで動かなくなったのです。
脊髄損傷は、主として脊柱に強い外力が加えられることにより脊椎を損壊し、脊髄に損傷をうける病態である。
Wikipedia より引用
脊髄を含む中枢神経系は末梢神経と異なり、一度損傷すると修復・再生されることは無い。現代の医学でも、これを回復させる決定的治療法は未だ存在しない。
もう二度と回復することはないようです。
脊髄損傷で全身麻痺に
筆者は断酒会の会長とお見舞いに行きました。
部屋には通されましたが、それは無残な姿でした。
ふとんをかぶせられ、上半身、下半身とも動かず、喋ることもできない。
目玉だけは神経がつながっているため、思いの方向に動かすことができる。
「大変なことになりましたね」
と、話しかけたら、目だけはあう。
唇がかすかに動くため、小さなナースコール用のボタンが、まるでイヤーマイクのように口元に装着してあります。
ほぼ、全身麻痺。
半年後、父は死亡
息子のためを思ってやったことが、こんな目にあうとは。
会長は後に何回かお見舞いにいったらしいですが、見るたびに痩せこけていったという。
そして、半年後に亡くなりました。
まだ60代の若さで死亡。
事件以来、お母さんも息子さんも見ない。
息子さんのアルコール問題でこんな大事が起こったのに。
まだ缶ビールはやめてないらしい・・・・・・
まとめ 脊髄損傷、全身麻痺、死亡。息子のせいで人生終わった父
お見舞いに行きましたが、全身麻痺は本当に無残な姿でした。
目の玉と、唇が少し動くだけなのです。
寝返りは打てないし、かゆくても痛くても何時間も我慢し続けなければならないのです。もちろん食べられない、のどが渇いても飲めない。
点滴の水分と栄養だけで生きている。
結局、半年後に死亡。
生き地獄だったと思います。
息子さんはこれに懲りて酒を止めるかと思いきや、結局止めませんでした。
親より酒のほうが大事なようです。
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