アルコール依存症の知人の体験談です。
断酒して健康を取り戻した人、命を落とした悲惨な人などさまざまな体験を聞きました。
そのうちのひとつの話です。
アルコール依存症で入院すると、患者それぞれに主治医がつきます。
ベテランの医師であればひとりで、まだ経験が浅い医師であれば、ベテランの医師とともに患者を治療していきます。
主治医と合うか合わないかで、今後の人生まで変わってしまいます。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
主治医とは
週に2回ていど主治医との面接があり、患者のアルコールに対する姿勢を主治医が把握し、外泊許可を与えたり、退院時期を決めたりします。
主治医とはこのような医師です。
主治医とは、ある患者の疾患の診療方針全般に対して主たる責任を有する医師のことである。
Wikipedia 主治医 より引用
外来診療や入院診療における「担当医」と同義であることが多いが、ある患者の身体・健康、その他の状態について最もよく理解している者であることが期待される。
要は、入院中に患者の事を最もよく知り、治癒に向けて責任をもつ医師です。
入院中に主治医と合わない場合、悲惨な目にあいます。
50代のアルコール依存症患者
筆者が入院してたころ、同じ部屋に入院していた人の話です。
H氏は53歳。身長は150cmとずいぶん低く、猿顔で、ナインティナインの岡村さんにかなり似ていました。(岡村さんはぜんぜん関係ないです)
人柄がよく、頼まれたら断れないタイプです。
入院時期は同じで、6月。閉鎖病棟で一緒に時を過ごしました。
開放病棟でタバコが見つかる
開放病棟におりたある日、タバコの空箱が洗濯小屋の裏で見つかりました。
洗濯小屋の裏の、草むらに投げてあったらしいのです。
タバコにはH氏の名前が
そのタバコの空には、「H」という名前が漢字でばっちり書かれていました。(患者は持ち物に名前を書く決まりなのです)
自分のタバコなら、普通にゴミ箱に捨てればよい。
どう考えても、別人が捨てたとしか思えない。
犯人は他の患者
誰かにたのまれた人柄の良いH氏は、断り切れず1箱あげたのでしょう。
そいつが恩も忘れて、草むらに捨てたのだろうと思われます。もちろん、精神病院での患者同士の物の貸し借りは禁止です。
H氏はせっかく親切にしたのに、看護師に厳重注意されていました。
H氏ついてない・・・・・・
変わった主治医
H氏の主治医、I先生(女医)がまた変わっていました。
筆者の主治医は院長先生で、週に1回面接があり、とうぜん診察室で面接を行います。
ところがH氏の主治医I先生は、診察室ではなく、それぞれの病室で話をするのです。
病室には、筆者も他の患者も何人もいるため、話がつつ抜けになるのです。
個人情報だのプライベートだのいう前に、医療従事者の「守秘義務」がまったく守れてないのです。
こんなのでいいのでしょうか。
主治医と合わない
ある日、I先生がH氏にまた病室で診察をしていました。
そして「Hさんは断酒のベテランだからねー」と嫌味を言うのです。
(これは「何回も断酒して失敗して何回も再入院してる」という嫌味です)
まわりの皆が聞き耳をたててるというのに。
断酒会に行かれない
筆者は入院して1ヵ月くらい、開放病棟におりてすぐ主治医のほうから「自分の断酒会に通いなさい」と言われます。
K氏も、いつも通っていたAA(断酒会)に行くといいだして主治医にお願いしたのですが、許可が下りるのに2ヵ月以上かかりました。
普通は外出や断酒会の許可はすぐ下りるのです。断酒会でもなんでも、病院の外に出られるのはとても嬉しい。
ところが許可がなかなかおりない。
主治医とまったく合わない。
H氏ついてない・・・・・・
主治医にシアナマイドを進められる
I先生はさらに「じゃ、明日からシアナマイド(抗酒剤)を飲みましょうかね」とK氏に言います。
「いやいやいや、ちょっと待ってください。とっくにシアナマイド飲んでますよ~。先生が飲めって言ったじゃないですか」
「あらそうだっけ? 忘れてた」
カルテを見ずに話をするので、チンプンカンプンで患者のほうが困ってしまうのです。
めちゃくちゃな主治医。
H氏、ついてない・・・・・・
主治医が代わったものの
そのI先生が病院を変わることになりました。
筆者は約4か月入院し、退院しました。
その後、外来にいった時になぜかH氏とよく会い話をするのだが、H氏はもう3年以上入院している。
I先生とは、半年くらいで退院する話をしていたとのこと。
ところがI先生はろくに引き継ぎもせずに、病院を変わってしまったらしい。
引き継いでないので、新しい主治医はK氏のことがよくわからない。
なので、もうちょっと様子を見る、と。
あの女医が引き継ぎをしてないせいで、退院はのびのびになってしまったようなのです。
主治医に合わないと本当にろくなことになりません。
つい先日もK氏に会ったのだが、まだ退院の話がでてないという。
もう3年。
53歳でアルコール依存症で3年の入院は本当に無駄な時間です。
K氏、ついてない・・・・・・
まとめ 主治医と合わないアルコール依存症患者、病院から退院できない
1度、威張り散らすようなとんでもない横柄な主治医に当たったことがあります。
何回もケンカしかけましたが、退院が伸びてはいけないと思いぐっとこらえました。
入院中に主治医は変えられないめ、3ヵ月我慢し、次の入院からは主治医を変えてもらいました。
嫌な主治医に当たったら耐えるか、精神保健センターに連絡して「退院請求」を出すしかないようです。
- 齢81歳のアルコール依存症が入院してきました。いつ寿命がきてもおかしくないのに数ヵ月も入院・・・・・・いまさら治療は不要では?
⇒高齢者のアルコール依存症、80代なのにアル中で入院
- アルコール依存症でタクシー運転手。二日酔いになると仕事ができないため、2か月間も飲んだくれ
⇒アルコール依存症のタクシードライバーは稼げない
- 閉鎖病棟から外泊しにいったO氏。酔っぱらって帰ってくるは、病院に酒を持ち込むは
⇒精神病院にアルコールを持ち込むには、その方法