アルコール依存症の知人の体験談です。
断酒して健康を取り戻した人、命を落とした悲惨な人などさまざまな体験を聞きました。
そのうちのひとつの話です。
今の断酒会に入った当時。アルコール依存症だったKさん(仮名、男性)は定年退職直後でした。
国語の先生をしていたので、みんなから「K先生、K先生」と呼ばれていました。
奥さんも保育園の先生をしていて、先生一家です。
そのKさんが、癌になりました。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
日本人の癌の死亡率
ところで、日本人は2人に1人は癌になり、3人に1人は癌で死亡します。
基本的には以下のような原因で癌細胞が発生することが多いです。
原 因 | 癌の種類 |
喫 煙 | 肺癌、食道癌、胃癌や大腸癌 |
多い塩分 | 胃癌 |
野菜や果物の不足 | 消化器系の癌 |
熱い食べ物、飲み物 | 食道癌 |
動物性食物の食べ過ぎ(欧米化) | 大腸癌、乳癌 |
大量飲酒 | 食道癌、肝臓癌、大腸癌、乳癌 |
アルコール依存症者が酒を飲み続けていれば、大量飲酒になるため食道癌、肝臓癌、大腸癌、乳癌のリスクは高まります。
断酒を続けていればリスクは減ります。
しかし、癌は、癌細胞が発生して細胞分裂で数年~20年近くかけて大きな癌になっていきます。
大量飲酒中に発生した癌が断酒してから発見されてもおかしくはないです。
- 日本人が癌で死亡した人は約37万4,000人です。(2018年)
- 新たに診断された癌は、約97万7,000人です。(2017年)
交通事故死は4000人弱なので、それよりはるかに多く、桁が2つ違うほどです。
癌の死亡数順位
2018年の死亡数が多い癌は以下の順です。
男性
- 肺がん
- 胃がん
- 大腸がん
- 膵臓がん
- 肝臓がん
女性
- 大腸がん
- 肺がん
- 膵臓がん
- 胃がん
- 乳房がん
大腸癌がどちらも多いことがわかりますね。次いで肺癌。
男性は肺がん・すい臓癌・肝臓癌とタバコ、酒がらみが多くみられます。
資料 国立がんセンターがん情報サービス 最新がん統計 より
先生なのにアルコール依存症
先生一家にもかかわらず、現役中のKさんの飲みっぷりは酷かったようです。
ある日、久しぶりに奥さんと、昔住んでた2階建ての家に訪れました。
そこでKさんは一言、「ありゃ、うちに2階があったんかいの?」
というくらい、記憶がない。
家まで忘れている。ひどい。
それほど毎日飲んだくれていたようです。
「毎日、飲むために先生の仕事をしていた」
と言っていました。
カラオケ大会で酒を飲みたくなる歌
断酒会で夏と忘年会シーズンに「酒なしカラオケ大会」をやるのですが。
K先生は必ず演歌を歌ます。
スナックで鍛えたのか、歌は上手でした。
しかし、題名は忘れましたが、必ず酒がからんだ「一人酒」「女と酒」のような歌を歌う。
カラオケの大画面には女将さんがとっくりで酒を注ぐような場面、ひとりでおちょこに酒を注いでグイっと飲み干すようなシーンが必ず映し出される。
断酒会の忘年会なのに・・・・・・。
スナックでそういうのばかり歌っていたと思われるのですが、皆、断酒中。
そんな場面ばかり見せられてはさすがに飲みたくなるので、あまり画面を見ないようにしていました。
喉頭癌を発症
T先生は断酒10年を超えたあたりで、断酒会に来なくなりました。
「10年も続けたから、もういい」ということらしい。会長に連絡が時々あり、酒は引き続き飲んでいないという。
昨年、また連絡がありました。
「喉頭がんで、状態が悪い」と。
皆心配していましたが・・・・・・
断酒を続けて癌で死亡
Kさんは、とうとう秋に亡くなりました。70代でした。
結局、死ぬまで酒を飲むことはなかったという。生涯断酒をつらぬき通したのです。
ちなみにタバコは吸っていませんでしたが、咽頭がんです。人生、なにが起こるかわかりません。
私が癌・余命1年などと宣告されようものなら速攻で飲んでしまいそうです。天晴れ、見習わなければなりません。
毎日ビール10本を空ける女性
Lさん(仮名、女性)は私より少し上。50歳で、うちの断酒会に来ました。
ビール党で、毎日ビールを10本以上飲んでいたとのこと。
アルコールの量はそれほどでもないですが、毎日ビールが手放せない。
調子がわるくなり病院にいくと、アルコール依存症、と診断されたらしい。
彼女は未婚で、独り暮らしでした。独り暮らしで酒をやめるのは相当しんどかったと思われますが、一生懸命がんばって止めていました。
レグテクト錠(飲酒欲求を抑える薬)を処方されていたが、まったく効き目がなかったとのこと。
断酒会にきては「ビールが飲みたい、ビールが飲みたい」と漏らしていましたが、がんばってやめ続けました。
酒を止めたのに胃癌に
4年くらい経った頃、断酒会に来なくなりました。
会長が心配して連絡をとったところ「胃がんのステージ4(末期)」だったという。
国保の健康診断が何年かに1回あるが、受けてなかったのだろうか。
胃がんであれば、早期発見で切り取れば治るのに。
断酒を続けて癌で死亡、2人目
結局、Sさんはそのまま亡くなりました。4年以上断酒継続し、酒を飲むことなくそのまま亡くなった。
やはり生涯断酒をつらぬき通したのです。立派なものです。
断酒を続けて癌で死亡。一生断酒をまっとうした先人 まとめ
私はいまのところ酒は止めていますがタバコが止めれていません。
一番怖いのは、断酒しているにもかかわらず肺癌になってしまうこと。
ステージ4なんていわれると、断酒を続けられるか自信ないです。
皆さんも定期的に健康診断を受けましょう。
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