●晩酌のメリット
酒は楽しいです。酒は美味しいです。晩酌にはこのようなメリットがありますね。
- リラックスできる
- 仕事のストレスを和らげてくれる
- 今日の嫌な事を忘れさせてくれる
- 会話が弾む
- 適量であれば血行がよくなる
健康な人が、適度に少量の晩酌をするのは体に良いといわれています。
しかし、晩酌でも大量飲酒になると害のほうが多くなります。私がまだアルコール依存症と診断されていない頃、晩酌が晩酌では済みませんでした。毎日まいにち大量飲酒で365日飲み続け、一切休肝日を作りませんでした。
休日は用がなければ午前中から飲むというありさまでした。そして、最後にはアルコール依存症と診断されました。晩酌だからといって大量飲酒をすると、健康被害があるだけでなく精神的障害(うつやアルコール依存症)のリスクもあります。
大量飲酒者は、そうなる前にきっぱり禁酒したほうがよいです。
●この記事では、禁酒するメリット、飲まないで過ごす方法を解説します
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
適量飲酒と大量飲酒について
毎晩、必ず晩酌する方は多いです。しかし毎晩となると、その量が問題となります。
軽く飲む適量飲酒者と、へべれけになるまで飲む大量飲酒者です。適量飲酒者と大量飲酒者の飲酒量の違いは、次のようになります。
適量飲酒者 | 大量飲酒者 |
1日のアルコール量20mg | 1日のアルコール量60mg以上 |
350cc缶ビール 1本 | 500cc缶ビール 3本以上 |
日本酒 1合 | 日本酒 3合以上 |
焼酎25度 0.5合 | 焼酎25度 1.5合以上 |
日本で大量飲酒者は約100万人、そのうち4万人がアルコール依存症として治療を受けています。しかし、その数字は氷山の一角ともいわれています。大量飲酒者は表に出ないだけで、実はもっと多いと考えられています。
以前は週に1回休肝日を作るようにいわれてましたが、最近は週に2回の休肝日が推奨されています。
そして適量飲酒者、つまり毎日缶ビール1本程度の方は、休肝日を作るのはさほど苦ではないですし、その理屈もわかります。しかし大量飲酒者は仕事が終われば酒を飲んで泥酔まで酔うのが日常になってますから、なかなか休肝日を作れないのです。私がまさにそうでした。
しかし、休肝日を作らずに大量飲酒を続けると、当然、内臓に害をあたえます。健康診断や人間ドックで内臓の数値がどんどん悪くなっていきます。体が壊れてしまってからでは手遅れです。(アル中の平均寿命はたった52~53歳です)
※あなたがアルコール依存症になっていないかのチェックができます
⇒アルコール依存症の症状とチェック方法 お酒を飲みすぎてませんか?
禁酒のメリット
長期間禁酒をすると、大きなメリットがいくつもあります。
1.禁酒の身体へのメリット
大量飲酒による身体のリスクはこのようなものがあります。
- 肥満
- 筋肉の減少
- 高脂血症
- 脂肪肝
- アルコール性肝炎
- 肝硬変
- 肝臓がん
- 急性すい炎
- 慢性すい炎
- 喉頭がん
- 咽頭がん
- 食道がん
- 食道静脈瘤
- アルコール性認知症
- 脳委縮
- 末梢神経障害
- 大腿骨頭壊死
- ウェルニッケ・コルサコフ症候群
大量飲酒により上記のような60種もの病気にかかる可能性があります。
⇒酒が原因で肝臓・すい臓だけでなく60種もの病気にかかる
禁酒をすることで、病気のリスクが減ります。
また基本的には摂取カロリーが減るため、ビール腹がなくなっていきます。酒の代わりに食べすぎてしまい太る方もおられますが、これは生活習慣を工夫しましょう。
2.酒による無駄な出費がなくなる
大量飲酒者が缶ビールを1年・焼酎を1年飲み続けると、下の表の金額が小便になって流れていきます。禁酒をすると、それだけ浮きます。1年を通すと結構な金額になります。
種類・量 | 1日 | 1か月 | 1年 |
缶ビール500ml 3本 | 約900円 | 約27,000円 | 約32万9,000円 |
コンビニワンカップ焼酎220ml 3本 | 約560円 | 約16,800円 | 約20万4,000円 |
紙パック焼酎1.8リットル 1本 | 約950円 | 約28,500円 | 約34万6,000円 |
人生で外のみ・家飲みでお酒に払った札束を計算すると?
⇒人生で酒で無駄遣いしたお金、外飲みと家飲みの金額と払った酒税
3.お酒を飲まないと睡眠の質がよくなる
よく言われるように、酒を飲んで寝ると睡眠が浅くなります。熟睡感がなくなりますが、これは実験で証明されています。しかし、深酒をされる方はもう慣れて分からなくなっているかもしれません。
晩酌せずに寝ると、次の日のスッキリした目覚めに驚かれるでしょう。ただ、寝酒をしないと眠れないという人は精神科にいって軽い睡眠薬をもらうほうが良いかもしれません。副作用を恐れる方が多いですが、木村神経科内科の木村院長は「酒の害より薬の方が100倍マシじゃ」といっていました。
禁酒して、良い睡眠をとり、良い一日を過ごしましょう。
4.アルコール性うつが無くなる
大量飲酒者は、酒がないと気分が下がり、いつも低いテンションで会社に行くのではないでしょうか。アルコール性うつになっている可能性があります。禁酒することにより、うつ症状がなくなってきます。
⇒うつ病で飲酒して酩酊すると、翌日アルコール性うつに!悪循環のはじまり
5.家族とシラフでまともに会話ができる
ただ酒を飲まずにシラフで奥さんや子供と話すだけで、これまでとは違う結果になるでしょう。
いつも酔っ払いがいうことなどは、誰もまともに聞いていません。
6.トラブルがなくなり、時間を有効に使える
よくあるトラブルは
- 酔っ払っての夫婦喧嘩
- 酔っ払ってのもめごと
- 酔っ払っての警察沙汰 ⇒酔って記憶がない、気がついたら檻の中 精神病院・閉鎖病棟体験談(1-4)
ですが、酒を飲まなければそういったことが一切なくなります。(もともと喧嘩っ早い方は我慢してください)
酔っ払ってないので、身体を使う趣味(ジムなど)や頭を使う趣味(読書など)に有効な時間を費やせます。最初は「酒がないとツマラナイ」と感じますが、しだいに慣れてきます。どうしても飲みたければ、お酒は週末だけにするなど、決まり事をつくりましょう。
禁酒のデメリット
禁酒のデメリットも少しばかりあります。
1.ストレスの発散法を探さなければならない
「酒だけ」でストレス発散していた方は、別の方法を考えないといけません。ジムにいくなり格闘技をするなり、Youtubeのお笑い動画を見るなり、酒がからまない趣味を見つけましょう。
2.社会人としてのコミュニケーションが減る
会社では何かといえば飲みで、上司や部下とのコミュニケーションを図ることができました。酒を飲まないと断りずらいし、シラフでは腹をわって話しにくいですね。
コミュニケーションがとりにくくなる可能性もあります。
禁酒するためにやるべき事
まだそこまで深酒をしていない方、酒量が少し多いだけの方は、下のような方法でお酒をぐっと我慢しましょう。休肝日を作るだけでも効果があります。
1.お酒の代わりに炭酸水を飲んで腹を太らせる
コーラやファンタでもいいですが、カロリーを気にされるなら炭酸水やカロリーゼロの炭酸飲料を腹いっぱいになるまで飲みます。腹が太ると、飲酒欲求がだいぶ治まります。
「HALT」という、酒が飲みたくなる4つの要因があります。
- H Hungry:空腹
- A Angry:怒り
- L Lonely:孤独
- T Tired:疲労
最初の「H:空腹」を炭酸水などで満たしてやると飲酒欲求が減ります。アルコール依存症が酒を飲みたくなった時も炭酸水を飲んで空腹を満たし、酒を我慢する人は多いです。
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2.飴玉をなめる、ガムを食べて飲酒欲求を減らす
飴やガム、おやつを食べていると、飲酒欲求が減ります。気が紛れるため、お酒を飲まずに過ごすことができます。
ただ、禁酒して本来なら摂取カロリーが減り、痩せるハズなのになぜか太る方がおられます。飴やおやつの食べ過ぎです。おやつは適度に控えて、飴はノンシュガーのV.C3000がオススメです。V.C3000ならカロリーが少ないですし、ビタミンCがたっぷり摂れます。
ノンシュガーのカロリーは普通のアメの半分くらいです。多く食べても太りにくいため、飲酒欲求を抑えるのに適しています。
3.ノンアルコール・ビールを腹いっぱい飲んでビールを飲まない
ノンアルコールビールは、本物が飲みたくなってしまうためアルコール依存症者には厳禁なのですが、単に禁酒をしようとする方には問題ないです。
ノンアルコールビールを3本も4本も腹いっぱい飲むと、もうビールは欲しくなくなります。ノンアルコールビールを10本飲んで、もう炭酸麦芽飲料は飲みたくないというほど飲んで、本物のビールを飲むのを防いだというアルコール依存症者がおられました。このような方法でアルコールを飲まずにやり過ごすことができます。
4.酒を飲まない趣味をつくる
- ドライブ
- 映画
- ジョギング・ウォーキング
- フィットネス・ジム
- 健康麻雀
など酒を飲まない環境の趣味を作りましょう。
⇒「酒が飲めない趣味」を持つことが大切
ただ、人によってはジムで運動した後ビールを飲みたくなったりするので、個人個人にあわせた趣味をつくりましょう。ただし、アルコール依存症に近い人はどうすればよいでしょう?
- 症状が重く、すでにアルコール依存症と思われる方
- 医者にアルコール依存症と診断された方
この記事を参考にしてください。
⇒アルコール依存症の治療|断酒を成功させる4つの手段とヒント
まとめ 「晩酌」をする人が「禁酒」をすべき6つのメリットと方法
毎晩の大量飲酒は若い時はいいのですが、高齢になるにしたがって身体に負担がかかってきます。
内臓、脳・神経、骨・筋肉すべてに何かしらの病気がでてきます。
まだ体が壊れていないうちにお酒を減らすか、禁酒に挑戦しませんか?
でないと、私のような悲惨な目にあいます。
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