- うつ病や双極性障害、アルコール依存症になってしまった場合、障害者手帳を取得したほうがいいのでしょうか
- 障害者手帳によりなにか不利益があるのでしょうか
うつ病やアルコール依存症などの精神障害の場合、手帳は正式には「精神障害者福祉保健手帳」といいます。
実際に障害者手帳を取得してみました。それによるメリットデメリットをご紹介します。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
アルコール依存症で障害者手帳は取得できるの?
アルコール依存症単体では、ある程度の期間と社会生活に障害をきたすなどの条件が必要です。
アルコール依存症の方は、「精神障害保健福祉手帳」の交付対象となります。
アルコール依存症ナビ より引用
ただし、本疾患が原因で長期に渡り日常生活や社会生活に障害のある人しか申請できませんので、初めてアルコール依存症の治療を受けた日から6ヵ月を経過していないと申請手続きができませんので注意が必要です。
障害者手帳が確実に取得できる精神疾患
以下の精神疾患の場合は確実に取れます。ただ、何級になるかは精神疾患の程度によります。
- うつ病、双極性障害
- 統合失調症
- てんかん
- 薬物依存
- 高次脳機能障害
- 発達障害
精神障害者手帳の申請はケースワーカーにまかせると簡単
精神科に入院、または通院している場合、担当のケースワーカーに「障害者手帳の申請をしたい」と依頼すると何もかもやってくれるため、非常に楽です。自分でやる場合、写真を撮ったり医師の診断書をもらったり申請書を書いて郵送したりの手間がかかります。
障害者手帳は何の役にたつの?
以前、入院した時に「障害者手帳」なるものを持っている人がたくさんいて、それはいかなるものかを聞いてみました。
「障害者手帳は、いろいろと割引がある」
精神病院の患者からではその程度の答えしか戻って来ません。
よくわらからないためケースワーカーに問うたところ、
「交通機関が半額になったり、施設の利用料金がタダになるよ」
これもよくわかりません。
- いったい何の割引があるのか
- 障害者ということでなにか不利にならないのか
- 就職は大丈夫なのか
いろいろ考えますが、精神病院の閉鎖病棟の中ではネットが使えないため調べようがありません。こうなったら、障害者手帳を申請してみよう。ということで、ケースワーカーにお願いして障害者手帳を取得することにしました。
私の場合「アルコール依存症 + うつ病」という病状で、障害者手帳を取得することになります。
障害者手帳を取得するために必要なもの
●障害者手帳を取得するのに必要なもの
- 医師の診断書
- 写真
- マイナンバーなど本人確認ができるもの
- 申請書
- 印鑑
最初の申請書はケースワーカーに書いてもらいました。また、障害者手帳は2年に1回更新しなければならず、今年は更新日だったため申請書を自分で書きました。
更新時、障害年金を受給している人は高い診断書の代わりに障害年金受給証のコピーで代用できます。(障害者手帳の診断書は5,000円前後かかります) 精神科外来に通院していれば、たいていケースワーカーに手続きをしてもらえます。自分で書けない人もいますので。
一般的には、区役所の福祉センターに行きます。
精神障害者手帳の等級
程度により1級~3級まであります。
身体障害の場合、「腕が何度まで曲がるか」「足を伸ばせるか」など、数字で表せるので等級の判断がやさしいようです。
精神障害の場合、例えばうつ病なら「朝起きれない」「活動できるのは日によって違う」「日によって気分が良い時と落ち込むときがある」など外からみても分からない場合が多く、等級をつけるのが難しいようです。
注意すべき点は、お金がからむ「障害年金の等級」とは関係がないことです。(ただ、 社会保険労務士 によれば、障害者手帳を取得しておけば、障害年金は通りやすくはなるそうです)
障害者手帳の申請の結果
病院内で入院中に申請しましたが、モノが送られてきたのは退院後でした。
封筒に入ってまして、まず1枚目が「広島市があなたを精神障害者と認定するが、異議はないか」という主旨の文面でした。
「あんたを障害者とするが、それでええんか?」という意味をもっともらしい文言で記述してあります。
「異議があれば申し立ててくれ」という旨のことも書いてありましたが、自分で申請してるのに異議申し立てはありません。すなおに受け取ります。
精神障害者手帳の等級は
結果は精神障害2級でした。封筒の中には、「障害者手帳が使える割引」などがこと細かに、お役所らしいわかりづらい文面で書いてあります。
わかりやすいよう、ざっくりまとめました(広島市の場合)
精神障害者手帳2級の割引によるメリット
広島市の場合、精神障害者手帳2級で次のようなメリットがあります。市によって若干は違うでしょうが、ほぼ同じと思ってよいと思います。参考にしてください。
1.広島市の主な交通機関が半額になる
- 市内のバス、アストラムライン(モノレール)、広島電鉄の市内電車の料金が半額になります。通勤などでよく利用する人にはメリットがあります。私の例でいえば、広島市内まで片道400円かかるのが、200円で済みます。1年通せば、だいぶ節約になります。
- タクシー券が12枚付いてます。 1枚につき500円割引きがあります
2.年末調整または確定申告時に、障害者控除がある
- 27万円の所得控除があるため、2万7,000円かえってきます
- 配偶者の扶養に入っている場合、配偶者も2万7,000円かえってきます
夫婦で5万4,000円、これは大きいです
3.映画館、公共の施設などがタダや半額になります。
- 映画館はおとな1800円が、1000円程度になります。つきそいの人も同じく割引が適用されるため、2人で行けば1600円安くなります。
- 公共のスポーツセンター、植物園、動物園などは無料になります。つきそいの人も同じく割引が適用されます。スポーツセンターに通っている人にはメリットありますが、うつ病だとなかなか行けません。
- 動物園は、小さいお子様がいる家はいいのですが、うちは中学生になっていたので利用しませんでした。
- 水道料金が若干安くなる
(役所の資料は分かりにくいため、ざっくりとまとめてます)
割引されてありがたかったのが、「1.市内の交通費割引」と、「2.の所得税5万4,000円還元」です。動物園、植物園などはちびっ子をお持ちの人には助かりますが・・・・・・もともと料金が安いのであまり役に立たず。うつ病や双極性障害だとなかなか出かけられないので、メリットもないです。
障害者手帳を持って就職する場合
現代は障害者を「障がい者」とひらがなを使い、イメージを変えてますが。
広島市の手帳は・・・・・・
すべて漢字です。「障害」という字を見ると、やはりメンタル的にへこみます・・・・・・。
就職活動にて
就職活動をするのにたいていはハローワークに行きますが、その時に
- 障害を隠して一般の人のように就職するか(クローズ雇用)
- 精神障害者として、安い給料で就職するか(オープン雇用)
どっちにするか決めなければなりません。
私は、3社ほどクローズ雇用で就職しました。障害を隠してです。で、無理な仕事を押し付けられストレスが溜まり、酒を飲んでしまい、結局入院・退職しました。
2.オープン雇用の場合、企業側に障害を伝えて就職するため、病気に対する会社側の配慮があります。無理をせず働き続けることができるような環境に就職できます。
また、会社側にもメリットがあります。厚生労働省の障害者雇用促進法により、従業員の2.2%以上の障害者を雇用しなければなりません。達成していれば、国から障害者雇用調整金が会社に支給されます。達成していなければ、障害者雇用納付金を徴収されます。
退職した時、障害者手帳の大きなメリットがある
退職後、職業安定所で失業手当の手続きを行いました。障害者手帳を持っていて失業した場合、かなりのメリットがあります。(ざっくりと書きます)
健常者が辞表を出して普通に会社を辞めた場合
一般的には3ヶ月程度待たないと、失業手当が支給されません。約4ヶ月目にやっと支給されます。支給期間は3ヶ月から5ヶ月。待つ期間が長いです。その期間の生活費をなにかで担保しなければなりません。
障害者手帳を持って会社を辞めた場合
すぐに(1ヶ月くらいで)支給されます。期間は300日~360日、約12ヶ月ももらえます。日額5,000円として、1ヵ月30日で計算すると月あたり約15万円。これが約1年つづきます。これでかなり助かりました。
障害者手帳を取得したほうがいいケース
次のような方は、保険として障害者手帳を取っておいたほうが良いです。
- うつ病や双極性障害があり、外来通院しながら働いているが、休みがちな人
- うつ病や双極性障害で休職を何回も繰り返し、今の仕事を続ける自信がない人
- 「うつ病や双極性障害と診察された」ことを、会社が知っている人
会社を辞めた時に、前述のようなメリットがあります。
障害者手帳を持っていて障害者であることは黙っていれば誰にもわかりません。デメリットはほとんど感じないです。精神病のある方は精神障害者手帳をとって、少しでも恩恵を受けたほうが良いでしょう。
また、会社も障害者雇用することでメリットがあります。前述の厚生労働省の障害者雇用促進法により、従業員の2.2%以上の障害者を雇用しなければなりません。達成していれば、国から障害者雇用調整金が会社に支給されます。
精神障害者手帳の取得に関するまとめ
福祉のお世話にはなりたくないのですが。
- 仕事で体調を壊してうつ病になり、何か月も入院した。
- 国家資格の医師が、治療をしなければならないという診断書を出した。
- 会社員を約30年やって、その間ずっと失業保険を納めてきた。
- 一部の人は、普通に就職できそうなのに生活保護を受け、働いていない。
- 私は病気の後、実際に3社ほど働いたが、長続きしなかった。
という訳で、無理をしないで恩恵に預かりしのいでいこうと思っています。年を重ねるごとに就職は難しくなります。しかし、あせって就職しても、酒飲んで入院するだけでした。
焦らず前に進もうと思っています。
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