妻に離婚したいと言われた。精神科に入院はつらい 精神病院体験談(1-13)

妻に離婚したいと言われた。精神科に入院はつらい 精神病院体験談

看護師「奥さんがこられてますので出てください

そう言われ、保護室の鍵を開けられた。扉をあけ、デイルームへ重い足取りで向かう。どんな顔をして会えばいいのだろうか。妻は怒っているのか、心配しているのか、まるでわからない。

精神病院まで家から20キロ以上離れているが、それでも運転が苦手な妻は来てくれた。デイルームには、心配そうな顔した妻が立っていた・・・・・・

などということはまったくなく。

入院セットの黒いボストンバッグを持ちこれほど憎らしいものはない、といった顔をして私をにらみつけていた

●筆者筆者

 


メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。

※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします

妻の考えがわからない

精神科の入院セット
精神科の入院セット

妻は私の入院にはもう慣れていた。

黒いボストンバッグに、入院生活で必要なモノ、下着3着にTシャツ半ズボン、洗剤、歯磨きセット、コンタクトレンズ、洗浄液、シャンプーにボディーソープ、耳栓、テレフォンカード、飴類などを手慣れたように準備していた。

無言でボストンバッグを手渡される。彼女の心のように、ずしりと重い感じがした。

はたして、どういう思いで病院まで来たのだろう。もうあきれ果てているのだろうか。

別れるつもりなのだろうか。無言の表情からは読み取れなかった。

スポンサーリンク

妻に離婚したいと言われた

離婚届け
離婚届け  出典:ひいらぎ法律事務所 より引用

無言の空気に耐えられなくなり、私のほうから先に声を出した。

私「どうするつもり?

妻「もう疲れた。離婚したい

私「それなら離婚届けを送ってくれ

妻「ちょっと考えさせて

それだけ言うと、妻はそっぽをむいてデイルームから出った。

「愛情」などという甘いものはすでに消えていた。結婚して10年、とうとうこの日がきた。離婚か・・・・・・

10年間、作り上げてきたモノすべてを失う。家族として過ごしてきた10年間。全部失う。

娘2人の親権は、入退院を繰り返し休職している父ではなく、看護師として真面目に病院に勤めている母へと、家裁は調停するだろう。

娘たちの親権は
娘たちの親権は

平和な家庭。可愛い2人の娘。

私がみな、壊してしまったのか。

すべて台無しにしてしまったのか。

どす黒い嫌な感情が胸からあふれ吹き出し、嘔吐しそうになった。

耐えられない。

スポンサーリンク

マンガ雑誌があった

離婚すると言われマイナス思考に
離婚すると言われマイナス思考に

私の中のどす黒い嫌な感情が身体中から吹き出し、耐えられなくなった。

看護師に言って、精神安定剤をもらった。

また、点滴が始まるらしい。

保護室に戻る前、デイルームに20冊くらい置いてあるマンガが目についた。「少年サンデー」「少年マガジン」「少年ジャンプ」・・・・・・

昔読んでいた懐かしい雑誌が本棚に無造作につっこんであった。どの本もボロボロ、表紙はしらっちゃけている。なんとか「マガジン」と読み取れるものもある。表紙がない物が何冊もある。

保護室にあるマンガ
保護室にあるマンガ

少年ジャンプを2、3冊手に取った。NARUTOがあったので読んでみたが、どれも覚えがある。表紙をよくみると「2008年」「2009年」「2010年」と大昔のもので、NARUTOはコミックですでに買って読んでいたものだった。

とりあえずジャンプを手に取り、保護室にもどった。NARUTO以外のマンガも読もうとしたが、まったく頭に入らない。

ガチャンと鍵を閉められた。

スポンサーリンク

独りになり、またマイナス思考に

保護室でひとりになりマイナス思考に
保護室でひとりになりマイナス思考に

独りになると、またマイナス思考の渦に巻き込まれていく。

離婚は怖い。娘たちと離れたくない。

こんな状態で生きていくのはいやだ・・・・・・

死ぬ、生きる、死、生死生死生死生死・・・・・・

恐い、恐い、恐い恐い恐い恐い恐い・・・・・・

頭がおかしくなる!

看護師を呼んだ。

私「どこでもいいから他所にいかせてくれ!保護室は耐えられない!

看護師「そうですね、マロさんは落ち着いてるし。半開放にできるよう頼んでみます

私「明日から半開放だといいが・・・・・・

夕飯を食べたあと、睡眠薬をもらい眠りについた。

何も考えずに眠るのが一番いい・・・・・・

スポンサーリンク

妻に離婚したいと言われた。精神科に入院は辛い・精神病院体験談

  • 最初のうちは入院するたびに妻は激怒していました
    離婚するかしないか、本当に悩んで考えていたようです。それでも週に1回の売店日に必要な金、自販機でコーヒーを買えるようにWAONカードなどを必ず送ってくれまていました。

  • 長女が高校受験の年だけは入院してくれるな、と何度も言われましたが、再飲酒してまた入院してしまいました
    その時、妻に猛烈なストレスがかかったのでしょう。声が出なくなってしまいました。失語症でしょうか、本当にすまないことをしたと思います。

  • 入院10回目ともなると、妻もなれた調子で、少々何が起こっても動じなくなっていました
    生命保険給付金が入るので「お勤めいってきます」というと「がんばってらっしゃい」という感じに・・・・・・慣れは恐ろしい。

あなたに役立つ記事

人が良い飲み屋の大将だったが、飲酒運転をすることだけが唯一の欠点だった。飲んだ次の祭りの日、訃報が入った
酒気帯び運転でバイクで事故死した飲み屋の大将と悲惨な家族

閉鎖病棟からまんまと脱走した。しかし、金を節約するため車の下で寝泊まりするハメに
【悲惨】車の下で寝泊まりをするアルコール依存症 閉鎖病棟脱走記(8)

閉鎖病棟に入院中、ある患者が外泊した。そして帰院時、アルコールをまんまと持ち込んだ
精神病院にアルコールを持ち込んだアルコール依存症患者