小島「じゃあ、後での・・・・・・」
久しぶりに会ったコジマさんと分かれた後、看護師に病棟を案内された。R4病棟は病院の4階にある。私が自動ドアから入ってきた、そこはデイルーム。50インチの液晶テレビが正面にあり、ソファーやイスでくつろいで見ることができる。
正方形と長方形のテーブルがいくつか置いてあり、読書やおやつを食べるスペースになっている。30人以上は座れるか、そんな大きなデイルームだ。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
精神科の閉鎖病棟の様子
デイルームの隣にはガラス張りの看護詰所。その前には喫煙室がある。(現在は全館禁煙となっている)
建物は真ん中に吹き抜けがあるため、四角い輪っかのようになっている。その内側、吹き抜けに沿って窓ガラスと廊下があり、廊下の隣に4~6人部屋の病室。R4病棟は男女混合だが、左側が男子の病室、右側が女子の病室となっており、男性病室とは互いに立ち入り禁止となっている。デイルームと喫煙室は男女混合。
建物の外周は窓、窓の下はロッカーか腰かけ。そして並んで洗面台、トイレ、個室がある。
看護師「マロさんはまだ半開放なので、部屋はここになります」
個室に案内された。
入ると、壁は水色に塗られており、奥の窓が少し開いてる。個室といっても総合病院のようなリッチでVIPなものではなく、部屋の中には地べたに置かれたマット、ポータブルトイレ、以上、それしかないのだ。
その時は、この暑いのになぜ窓が開いているのかは気にならなかったが、後ほどわかる。
マットは床に直に敷いてある。保護室と同じだ。ただ、保護室と違って、一応シーツがかけられていた。それだけでもなんとなくありがく思えてしまう。
そしてその横に、白いポータブルトイレが置いてある。
私(また牢屋なのか・・・・・・?)
保護室の恐怖がフラッシュバックしてくる。
看護師「マロさんは半開放なので、夜10時から、朝まで鍵を閉めます。昼は自由行動できますよ」
私(夜だけ閉じ込めされるのか・・・・・・じゃあいいや、寝てる間だけだし)
その後、看護師から洗面所・トイレ・洗濯機の使い方・飯の時間・検温など病棟の説明があった。私は昼間、デイルームにずっといた。私の個室はまるで「保護室」に思えたので、そこにいるのは気分が悪かったから。
1階の牢屋のような保護室から開放され、少し落ち着いてきた。久しぶりに「自由に」タバコが吸える。3本、ちょっと吸いすぎかな、と思うぐらい吸ってしまった。売店日まで「タバコの在庫」をちゃんと計算しておかないといけないのを思い出した。
精神科の閉鎖病棟では買い物が自由にできない
精神科の閉鎖病棟では、普通の病院のように買い物が自由にできない。まず、勝手に売店に行くことはできない。認知症や、重い自閉症の患者もいるので、自由に売店にいけたら大変なことになるからだ。
お金の管理ができないため、お菓子やコーラを買いまくり、一日中食べ続けるのは間違いない。
私の病棟の売店での買い物は、週に一度、火曜日となっていた。その日に、タバコ1週間分、お菓子、ジュース、歯磨き粉や洗剤などの日曜雑貨を購入する。お菓子類は、ジュースも含めて1,800円まで、と決められている。私はビタミン飴、カフェインで気分を上げるためのコーラ、あとはタンパク質補給のためジョグメイトなどを買う。
女子、とくにオバサンなどはポテトチップス、ハッピーターン、ばかうけせんべい、ナントカ飴、パン、ココナッツサブレなどの駄菓子を山のように買っている。白いビニール袋パンパンに菓子ばかりだ。
私(運動もしないくせにそんなに菓子ばっかり食べたら太るぞ)
と思うものの、ここ精神科では他人に関わるとトラブルの元となるため、黙っておく。
糖尿病のある人は、お菓子に制限がかかる。看護師が管理して、必要以上カロリーがあるものは買わせないようにするのだ。そして、現金は持てない。病院に預けてある「小遣い用のお金」から代金が引かれていくのだ。
飲んだくれが閉鎖病棟で久しぶりに運動してみる
酒を飲み始めて以来、飲みっぱなし、ずっと飲んだくれていたため、運動ゼロ、まったくサボっていた。時間がありあまるほどあったため、久々に身体を動かそうと思った。私の部屋は保護室のようで嫌なので、廊下のすみで身体を動かす。
シャドー(ボクシング)をやろうとしましたが、よく考えると閉鎖病棟内でジャブやストレートを出していたら注意されるかもしれない。それはやめて、足だけ、ボクシングのステップを踏む。3分ずつくらい。そして腹筋や腕立て伏せなどを何セットかやってみた。
しかし、ほんの一週間しかサボってないのに、息がゼーゼーと切れる。
コジマさんが車いすでそばまで来た。
コジマ「マロちゃん。前の時みたいにコレはせんのかの?」
コジマさんは左右の手で拳をつくりパンチを出すマネをする。以前入院していた3階では、普段から廊下でシャドーをやっていた。
私「いやぁ、初日からいきなりはマズいんじゃないかなぁ」
コジマ「ははは、そうかもしれんのぉ」
2人で笑った。
夏の日に、窓が閉まらない暑い部屋
寝る前の睡眠薬をもらい、部屋に戻った。あいかわらず窓が10センチくらい開いている。シャバに出てないので分からなかったが、9月はまだむせるように暑い夜だった。廊下やデイルームは、クーラーが効いて涼しく、まったく気がつかなかったのだ。
私の部屋だけ、窓が開いているため暑い。窓を閉めようと思ったが、思いっきり引いても押してもビクともしない。
私(なぜだ?なぜ動かない?なにかでロックしてあるのか?)
アルミの窓枠を覗きこむと、窓がネジ数本でがっちりと固定されていた。
私(どうして?暑くてねむれないじゃないか)
どうにも暑くてたまらない。布団をかけずに横になった。
個室の中、小便臭くてたまらない
夜中、何時だろうか、ふと目が覚めた。小便に行きたい。
ドアは鍵が閉められていて開かないため、部屋の隅のポータブルトイレに小便をした。そしてまた寝また。
朝になって目が覚めた。
私「臭い!」
小便臭い。 高い気温のせいで小便の臭いがポータブルトイレから立ちのぼりり、部屋中が臭いのだ。
私(臭いから窓が開いていたのか・・・・・・やっとわかった)
生ぬるい気温で何時間も放置された小便は、とてもじゃないが耐えれない悪臭を発していた。子供が小さい時は、娘たちの紙おむつをずっと替えてきたが、それはあまり気にならなかった。自分の、大人の小便の臭いは我慢出来ない。
私「小便の臭いが我慢できない。ドアに鍵をかけるのはやめてくれ。トイレに行かせてくれ!」
看護師にお願いした。
精神科の閉鎖病棟、個室はポータブルトイレで臭い!
瀬野川病院の4階は閉鎖病棟で、一応男女混合ですが、病室間は互いに出入り禁止でした。
女性患者はほぼオバサンですが、まれに20代の若い娘もいます。
私が連れられた部屋は個室でしたが、「4階の保護室」でした。夏場のポータブルトイレでとても臭くて我慢できません。
売店日は週に1回。日用雑貨は自由に買えますが、おやつは1800円まで。1800円のオヤツは私には十分すぎる量でしたが、日ごろからオヤツを食べる癖がある人には足りないようです。閉鎖病棟はヒマなので、ついオヤツに手が出るのでしょう。
結局、ここに3ヵ月近くも滞在することになりました。
アルコールが切れて1週間もいれば十分だと思いました。3ヵ月という長期間の意味がわかりません。人生における3ヵ月は長いのです。
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