アルコール依存症で精神科の閉鎖病棟に入院して2~3週間経ったころ生活を紹介します。
ぼくは元々のうつ病の症状と、アルコール性うつ(酒飲みがアルコールを抜いた時に、気分が沈んで落ち込む症状)のせい、朝4時には目が覚めてしまうのです。
※アルコール性うつは時間が経つと、じょじょに薄れていきます
朝4時はまだ喫煙所のドアは閉まっており、6時になるまでテレビは点けられません。
私と同じように目が覚めた患者、それに、お年寄りなので早く起きてきた老人たち。
デイルームで、しばらく雑談したりします。
アルコール依存症での精神科の入院生活



時々、紙コップ式の自販機で90円のコーヒーを淹れます。
閉鎖病棟は現金をもたせてもらえません。自販機でコーヒーを買うには、あらかじめ「WAONカード」にお金を補充しなければならないのです。
激昂し恨みの念でぼくを睨んでいた妻だが、「病院の小遣い用の口座」には2万円ほど入れてくれていました。普通の生活が送れるようにはしてくれていたのです。
精神病院の病棟では、患者にたかられる



その自販機はデイルームにあります。
もし昼間、デイルームに患者が大勢いる時に自販機で買うと。
ヤツらどもが



誰か1杯おごってくれんかのう



ワシにもおごってや!
と、たかられるので人目のつかない時に買わなければならないのです。
急性期で入院している患者は、たいてい奥さんか親にWAONカードを購入してもらっています。
しかし、慢性期で独り身で長期入院していてお金がないような患者は、WAONカードを買えないため、たいていたかってくるのです。
せっかく彼らにおごっても、一般的な常識が無く、感謝すらされなかったり、「こいつには金がある」見られてどんどんエスカレートしていったりしてきりがありません。
なので、本当に親しい人にのみ、おごります。
しかし「患者同士での貸し借り、モノのやり取りは禁止」となっているため、こっそりと。
精神病患者との間でモノのやり取りをすると、非常識な行動をしたり嘘をついたりするためトラブルになりやすいのです。
入院生活の朝6時



入院生活、朝の6時。
テレビが点けられます。
そして、喫煙所の鍵が開けられます。
喫煙者は、パチンコ屋の開店時のようにみな喫煙所になだれ込み、ポケットからタバコを出します。
しかし、テーブル型の空気清浄機に鎖で取りつけられたライターは「ひとつ」しかないので、タバコをくわえたまま火を点けるための待ち行列ができてしまいます。
ただ、当直(夜勤)の看護師がキムラさんだった場合、6時より10分早く喫煙所が開きます。
キムラさん自身がヘビースモーカーなので、自分が早く吸いたくて早く開けるのです。
アルコール依存症の入院生活、朝の検温



閉鎖病棟では6時半あたりから検温です。
各部屋を看護師が回るので、ベッドに戻っておかねばなりません。
要領のいい看護師の場合、デイルームでテレビを観てても勝手に検温してくれるので楽なのですが。
本日、自分担当になる看護師が、体温と脈、便が昨日出たか、食事は全部食べたか、変わりがないかを聞いてきます。




特になんもないです
とか




夜中に何回も目が覚めて、眠れてない
などと伝えます。
症状によってはそれが主治医に伝えられ、マグネット錠(便秘薬)や睡眠薬が変わったりするのです。



精神科の薬はほぼ便が固くなるため、マグミット錠など便通を良くする薬を飲まされます。
私の場合、いきなりマグミット錠3錠を処方され、便が固くなるどころか柔らかくなりすぎてしまい、まるで水のような下痢が続き、苦労しました。
主治医に言うと



自分で調整してください
だと。
マグミット錠は精神薬とは関係がないため、どのくらいを飲むかを自分で調整してよいらしいのです。
いろいろ試して試行錯誤した結果、マグミット2錠で、軟便になるくらいに落ち着きます。
運動不足解消のための運動



検温等ひととおりが済むと、まだ人がまばらなデイルームへ行きます。
検温が終わったらまた寝る人もいますが、うらやましいかぎりです。
私は一旦起きると睡眠薬なしでは眠れないため、しかなくデイルームの隅っこで柔軟体操をします。
その後、家から郵送してもらったダイソー商品の小さなキッチンタイマーを出し、3分にセットしてシャドー(ボクシング)。
まず、足のステップだけでウォーミングアップ。
それから、ジャブだけ3分。
ワン、ツー、右ストレートを主体にした3分。
などを30分。
その後、スクワットやプッシュアップ、腹筋などを数セット。
1時間、体を動かします。
このくらいは身体を動かしていないと、運動不足で体力がガタ落ちするからです。
精神科の閉鎖病棟内で唯一運動をする人、私。
その頃には「マロさんはボクシングが趣味で、いつも運動をしている人」と看護師さんにみなされているため、注意されなくなりました。
ぼくのそばにいたヒウラちゃんなどの女の子が「シュッ シュッ」とパンチのマネごとをする時があるが、これは「危ないからダメです!」と看護師に注意されてしまいます。
精神科の入院生活の風呂
風呂は、週にたった2回です。
夏でも冬でも関係なく、週に2回。
そのため、風呂でない日に汗だくになった私は、洗面所で上半身裸になって汗を落とすのです。
8時から朝礼、ラジオ体操。
アルコール依存症者は精神科の閉鎖病棟でこんな入院生活を毎日まいにち何か月も繰り返し送るのであります。
アルコール依存症で精神科の入院生活はストレス 精神病院体験談まとめ
・自販機でコーヒーを飲んだり、親しい人におごるのは、人目につかないところでしないといけないです。金のない長期入院の精神疾患患者にたかられてしまいます。
・喫煙所オープン時はまるでパチンコ屋。ニコチンに飢えた患者がいっせいになだれ込んできます。
・精神薬を飲んだらたいてい便秘になります。マグミット錠の調整が大変。マグミットを飲みすぎて水のような下痢になったことも。
・風呂はどんなに暑かろうが寒かろうが週に2回。瀬野川病院の風呂は、ヤクザの人など彫り物をしてる人が多く、虎や竜や桜が色とりどりで華やかでした。