アルコール依存症の入院生活のつづき、瀬野川病院(精神科)の閉鎖病棟の生活をお送りします。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
精神科・閉鎖病棟の朝8時
閉鎖病棟では、8時から朝礼、そして続けてラジオ体操が行われる。全員参加だ。
パーキンソン病で足が不自由で車イスのコジマさんは、窓際のいつもの位置で待機している。アルコール依存症で神経麻痺し、大腿骨頭壊死でうまく歩けないヤナイさんは、早めにデイルームに来て待っている。
担当の看護師が「おはようございます!」と大きな声で挨拶をする。しかし、患者のほうは元気のないうなだれた声で「・・・ござぃます・・・」ととりあえず返事をする。
そして看護師が「今日は9月23日月曜日です!」と日付をいう。これをしっかり記憶しておかないといけない。
シャバから閉ざされて生活する私たちは、入院してしばらくすると、今日が何日で何曜日かさっぱり分からなくなるのだ。カレンダーを見ても日付・曜日がまったく分からない。そのため、看護師のいう日付・曜日を覚えておかないと、一日中困る。土曜日なのにサンデージャポンを観ようとしてしまう。
看護師は続けます。
「今日のOT活動は、午前中はカラオケ、午後は軽スポーツです!」
OT活動(作業療法)とは、簡単なスポーツやストレッチ、机上での簡単な作業で身体や頭のリハビリをすることだ。暇つぶしになって良いのは良い。
精神科・閉鎖病棟のOT活動(作業療法)
瀬野川病院のOT活動には次のようなモノがある。
- 軽スポーツ:5階の体育館で、ソフトバレーや実物大野球盤、バドミントン、卓球など
- デイルームでストレッチや筋トレなど
- 読書(OTさんが雑誌やマンガを持ってきてくれる。が、たった1時間なので十分に読めない)
- レクレーション:室内ボーリング(子供のおもちゃみたいなヤツ)、ダーツ(大人なのに磁石製)など
- 映画鑑賞:事前に多数決で映画を決定します。激しい暴力のあるヤクザ系や成人向けの映画はNG)
- 音楽ビデオ鑑賞:ミュージックステーションの録画を鑑賞するなど
- カラオケ
これらの事がじゅんぐり、日曜以外の毎日行われる。
これとは別に、アルコール依存症者は、月・水・金にアルコール学習会が1時間づつある。土曜日は院内ふたば断酒会、AA※もある。
※ふたば断酒会、AAなどはこの記事を参照
⇒断酒会とは?ふたば断酒会、AA、広島だるま会など自助グループはどんなもの?
違法薬物で入院した人たちもほぼ同様のスケジュールだ。「AA」の代わりに「NA」になる。こんな感じで、精神科・閉鎖病棟の日常は過ぎていく。
日曜日はまったくなにもイベントがないため、退屈でしかたがない。テレビを観るくらいしか暇がつぶせない。
そしてアルコール依存症や薬物依存はたいてい3ヵ月クールで退院するが、統合失調症や発達障害などの患者はもっと長い場合が多い。
洗面所で髪を洗わないで
朝礼で看護師から、「夜中に洗面所で髪を洗わないでください!」と注意がある。
この「洗面所で髪を洗う」気持ちはすごくよく分かる。閉鎖病棟では、風呂に入れるのは週に2回だけなのだ。刑務所のことはよく知らないが、それ並か、それより酷いのではないか。
髪を洗えるのは約3日に1回。エアコンが効いてても、9月はまだまだ暑い。汗をじっとりかく。頭がかゆくなる。正常な女性ならば、髪を洗いたいのは当然だ。
なぜ洗面所で髪を洗えないのか。それは長い間入院して伸びた長い髪が、排水溝に詰まるから。なので、坊主頭の男性がシャンプーしてても注意されない。
そして、洗濯場に小学校のトイレにあるようなモップ洗い用の流しがある。そこで髪を洗うのは特に注意されない。
その後、看護師に「なにか質問がある人?」と聞かれる。
そこで大抵、「あのぉー、うちわぁ、ご飯をB定食にしたのにA定食だったんですけどぉ」などと、どうでもいい個人的な質問をする、空気が読めないおバカちゃんが出てくる。
看護師に「ハイハイ、それは後で話しましょう」と、適当にいなされる。
精神科・閉鎖病棟では毎日ラジオ体操
朝礼が終わったらラジオ体操。OTさん(作業療法士)の出番だ。
ラジカセから流れる、ラジオ体操の「♪チャン、チャーラ、ララ、ララ~」が始まると、患者達はお互いに手が当たらない距離に広がる。
狭いエリアしか移動できない患者にとっては貴重な運動の時間なのだ。張り切って頑張る患者もいれば、めんどくさそうに部屋に戻る患者もいる。そういう患者は、デブ。
コジマさんも、身体が不自由だが、車椅子で一生懸命に手を動かしている。
私はというと、あるOTさんがやっていた「思いっきりラジオ体操」というのをやる。文字通り、思いっきり上体を後ろにそらしたり、全力で跳びはねる。ただの体操が激しい運動になるため、終わった後「ハァ、ハァ」と息が切れる。
日頃の運動量が少なければ、思いっきりラジオ体操はかなり効果がある。結構な運動量になるので、お試しあれ。
ただし、ラジオ体操には「急に身体を横に曲げる」「急に身体を反らす」など、急にやると筋を痛める動作があるので注意。なので、ウォーミングアップのための「ラジオ体操」のウォーミングアップに、身体を温めてストレッチなどをしておかないと危ないだ。
こんな感じで、精神科・閉鎖病棟の日常は過ぎていく。
閉鎖病棟ではお笑い番組は必須
もし土曜日なら、(※広島では)昼からの「吉本新喜劇」は見逃してはならない。日曜ならば「笑点」もはずしてはならない。とにかく笑えるバラエティ番組ははずせない。
ただでさえ気分が沈みこむ閉鎖病棟では、笑えて気分が高まるお笑い番組は必須なのだ。
精神科・閉鎖病棟でどうやって暇つぶしをするか 精神病院体験談(1-23)
- 瀬野川病院の閉鎖病棟では、朝8時に朝礼が行われます。そのあとラジオ体操です
- 狭いエリア内で何か月も過ごしているうちに、気分は滅入り、だんだん落ち込んできます。こんな時にありがたいのが吉本新喜劇や快傑えみチャンネルなどのバラエティ番組です。そんなのを必ず観て笑って気分を上げるしかないのです。
- カラオケは本格的な機械がレンタルしてあり、たぶんですが毎月アップデートされているため新曲が入っています。にもかかわらず、よく歌われるのは昭和の「高校3年生」だったりします
- とにかく生活がマンネリ化して辛いのです。アル中なら酒が抜けて1週間もすれば、あとは暇つぶしに苦労するばかり。同じ勉強会も何回もやる必要はない。退院してもよいのではないか、と思います。なぜ3ヵ月もいなくちゃいけないのか・・・・・・
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