連続飲酒の恐怖、やめたいのにやめられない 精神病院体験談2-2

連続飲酒は酒をやめたいのにやめられない

私はアルコール依存症で精神病院の閉鎖病棟にいくたびか入院しました。

この記事は、精神病院で起こったことや体験談を書いたものです。


断酒中にスリップ(再飲酒)してしまいました。

スリップすると、これまでずっと我慢していた酒を、まるでダムが崩壊したかのごとく飲んでしまいます。飲酒が1日で終わることはなく、次の日、目覚めると、ベッドの下に隠していたまた焼酎をあおるのです。

体験談のつづきです。

●筆者筆者

 


メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。

※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします

連続飲酒のはじまり

紙パック焼酎いいちこ
いいちこ
出典:iichiko公式サイト より引用

先日、パチンコで大勝し、ふいに飲みたくなった。そしてその飲酒欲求を止めることはせず、近所の商店で「いいちこ」の紙パック焼酎1.8リットルを隠れて買い、家に持ち込んだ。

焼酎が入ったビニールを上着をめくって腹のあたりに隠し、足早に玄関を通る。自分の部屋に入り、ドアを急いでしめた。びくびくしていたのがようやく落ち着いた。

プラスチックのキャップをまわし開け、その中の栓をひっぱりぬき、口に付け、パックを傾け一気に喉に流し込む。

熱い液体が舌を通り、喉を通り、食道を通り、胃に到達する。途中、喉が焼け付くが、我慢できなくなるまで流し込む。ごくり、ごくり流し込む。

食道が急に熱くなる

胃が、一気に熱くなる

消化器全体が熱くなる

そして、胃および十二指腸でアルコールが一気に血液に吸収され、そのアルコールを含んだ血液が脳に達する。すると、一気に快感が押し寄せてくる

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連続飲酒とは、目が覚めてから寝るまで飲み続けること

連続飲酒とは目が覚めてから寝るまで飲み続けること
連続飲酒とは目が覚めてから寝るまで飲み続けること

酔っている時間は素晴らしい。とてもいい。

ところがそれは永遠に続くわけではなく、1時間2時間すると酔いが覚めてくる。あれだけの量を飲んで覚めるわけはないはずだが、「酔い加減が下がってくる」といえばわかりやすいでしょうか。

覚めてくると気持ちよくないので、また焼酎紙パックに口を当て、ごくりごくりと胃に流し込む。また気持ちよくなる。そして時間が経つと覚めてくる。

連続飲酒の酔いが覚める
連続飲酒の酔いが覚める

またアルコールを流し込む。こんな状態が、夜寝つくまで続く。夕飯なんか食欲がなくて食べられない。そのまま、酔った状態で布団にもぐりこむ。

早く寝てしまったのと、アルコールの影響で眠りが浅いため、夜中に目が覚める。すでに酔いは覚めており、このまま眠れそうもなく、また焼酎を取り出してグビグビやる。快楽の中、眠りにつく。


朝になり、目が覚める。目も覚めたが、酔いも覚めているのでまたグビグビやる。これを永遠と繰り返す。これが、連続飲酒に入った状態。

大抵のアルコール依存症者はこの状態に入り、食事はしない(できない)のが普通だ。栄養素は酒のカロリーのみで生きていく。

連続飲酒に入ると抜けられない

アルコール依存症の連続飲酒
アルコール依存症の連続飲酒

このような状態になるのにはたいていきっかけがある。それは断酒中に誘惑に負けて「最初の1杯」を飲んでしまうこと。

アルコール依存症者は1杯ではまったく満足できない。1杯が2杯になり、2杯が4杯になり、すぐに朝から晩まで飲むようになるすでに断酒のことなどは考えなくなる

違法薬物の依存症者とまったく同じなのである。いや、酒は合法なのでコンビニにいけばすぐ買えてしまう、その手軽さが命取りになる。

アルコール依存症者は一回アルコールを体内に入れると止まらなくなる。それまで苦労して酒を止め、飲酒欲求が下がってきたというのに、もとの木阿弥に戻る。

連続飲酒に入ると、自分の意志ではほぼ抜けられない。それはアルコールという薬物の依存症だから。アルコール依存症者は、軽く1杯で済ますことができない。2杯でも3杯でも満足できない。酔って酔って、酩酊するころにやっと落ち着く。

連続飲酒で泥酔、酩酊
連続飲酒で泥酔、酩酊

アルコールが切れてくるとまた次が欲しくなり、永遠にアルコールを入れ続けないと気が済まない。夜中や早朝、目が覚めたらすでに飲みたくなっている。そしてすぐにベッド下に隠してある焼酎を飲み干す。

仕事になんか行かれやしない。まともな社会生活なんか送れやしない

酒乱タイプのアルコール依存症者であれば、怒鳴ったり、家庭内暴力、警察沙汰の犯罪を犯してしまうこともある。もう入院するしかない。

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最初の1杯

連続飲酒のきっかけの最初の1杯
連続飲酒のきっかけの最初の1杯

最初の1杯を我慢しておけば、こんな事態にはならなかった。今、再び、広島一の精神病院、瀬野川病院の閉鎖病棟の保護室に入院している。

※10年近く前の話です。

AA(アルコホーリクス・アノニマス アメリカの断酒会)の冊子より引用

「アルコホリズム(アル中のこと)の専門医も、この最初の一杯を避けるという考え方は医学的にも根拠があると言明しています。

直ちにであれ、ある程度の時間がたってからであれ次の一杯を渇望する強迫観念の引き金となるのは、この最初の一杯であり、そのために結局はまた飲酒のトラブルに見舞われることになる」

・・・・・・AAの冊子「どうやって飲まないでいるか」10頁より引用

アルコール依存症で断酒中の方、お酒が止められない方に、筆者の経験が少しでもお役に立てるように書いています。

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連続飲酒の恐怖、やめたいのにやめられない まとめ

  • アルコール依存症で断酒して何年経っても、一杯飲めばもとの木阿弥、また飲酒生活に戻ってしまいます。

  • 苦労して飲酒欲求をゼロに近づけて生活していたのに一杯飲めばまた飲酒欲求100%に戻ってしまいます。

  • あの一杯さえ飲まなければ、と何回も後悔しました。

  • アルコール依存症は進行性の病気」と言われていますが、まさにその通りで、始めのスリップはビール・チューハイ程度で済んでいたものが、繰り返していくうちにだんだんひどくなります。
    最後は「焼酎一升紙パックをがぶ飲み」というひどい有り様になっていました。そうなると、もう入院です。症状が軽いうちにやめておくべきです。

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