すでに一週間以上、連続飲酒をしていました。食べ物はほとんど口にしていません。
そして、酒が切れるとアルコール離脱症状が出るのです。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
アルコール離脱症状とは
アルコール離脱症状とは、アルコールの血中濃度が下がってきたときに発生する症状です。
朝から晩まで酒を飲み続けると、アルコールが入っている状態が正常な状態だと脳が勘違いします。そこでお酒を切ったり、アルコールの血中濃度が下がってくると脳が「異常な状態」だと勘違いしてしまうのです。
そして次のような症状が出始めます。
身体的な症状
- 振戦:手や足がピクピク、ぶるぶると震えだします
- 発汗:脂汗が出てくるのですが、暑くもないのに汗が額から流れ床にボトボト落ちるほど出てきます
精神的な症状
- イライラ:酒が欲しいのに酒がのめないため、イライラして家族に当たったりします
- 抑うつ状態:わけもなく気分が沈み込む「アルコール性うつ」がでてきます
- 不眠:もはや寝酒がないと眠れない、といった症状になります
- 不安感:不安になる理由がないのに、不安な気持ちが続きます
その他の離脱症状
- 幻覚、幻聴:連続飲酒時の酒量が多かったり長期間の場合、酒を切ると幻覚・幻聴が現れます。
見えないものが見え、聞こえないものが聞こえます。幻覚でマンションの8階から飛び降りようとした人もいました。
体験談のつづきです。
アルコール離脱症状のはじまり
必ず早朝に目が覚める。酒のせいか、うつ病のせいかはわからない。そして今朝も、アルコール離脱症状が始まる。
睡眠薬を飲んだが、酒であおるように流し込んだせいか睡眠が浅い気がする。たびたび目が覚め、ベッド下の焼酎でアルコールを補給して、また寝る。外はすでに明るいが、頭はボーっとしている。睡眠薬の効き目がまだ残っているのか、眠気もある。
そして・・・・・・手が震えはじめる。
アルコール離脱症状の症状
手の指がピクピクと、自分の意志に反して震えている。医者が言うように、手のひらをパーにするともっと震える。まるでニコラス・ケイジのアル中映画のワンシーンのようだ。
●アルコール依存症の症状とは
⇒アルコール依存症の症状とチェック方法|酒の飲みすぎは依存性の原因
ベッドから降りると、こんどは足がガクガクと震えはじめる。ヒザがガクガクと揺れ、まともに歩けないのでタンスや壁につかまりながらトイレに行き、用を足す。
とてもつらい。
足も身体全体も震えているので、小便が便器の外に飛び散る。床にはみ出た小便が散っているので、トイレットペーパーを引き出し、なんとか拭く。心の中は不安感、恐怖感、焦燥感でいっぱい。
とてもつらい。
今日こそ酒は飲むまい。そう思い、しばらくは我慢してみるも、やがて身体的にも精神的にも耐えられなくなる。
離脱症状をおさめる
今日はほんの一杯でだけにしよう。
ベッドの下に隠してある一升紙パック入りの焼酎を取り出し、栓を開け、まるで水でも飲むようにゴクゴクと喉に流し込む。アルコール25%の液体を生地で一気に流し込む。喉から食道、胃にかけて一気に熱くなる。この熱さが気持ちいい。
そしてしばらくすると、手足のふるえがピタっと止まる。不安感、恐怖感は消えて、代わりに快感、幸福感で心が満たされる。
アルコール依存症者の生活
落ち着いたところで、手元のタバコをとり、ベッドの脇のガラス戸を開けベランダにでて、火をつける。朝一の1本は少しクラクラし、完全に目が覚める。ベランダごしに外を見ると、サラリーマンたちが出勤を始めていた。小学生は列をなして登校し、中学生はというと仲良しグループらしき集団で登校している。
それらを見ながら会社をサボっている自分は情けない思いをするかと思えば、そんなことはまったくない。もうすでに酔っているので、他人事なのだ。一服し、吸い終わると灰皿に押し付けて火を消し、また部屋にもどる。
いつも用意されている朝食は、連続飲酒が始まってからは用意されなくなった。しかし、かまわない。カロリーは酒から摂れる。ビタミンはサプリで摂ればいい。
酔いが覚めてくると、また焼酎をとりだしゴクゴクとやる。結局一杯ではすまない。飲み方が半端じゃないので、一升がすぐになくなる。もう、酒がなしでは生きてはいけない。
妻は仕事に、娘たちはすでに学校に行っており、家に義父と義母しかいない。
1階に義父・義母がいるため、見つからないよう、こっそりと2階の玄関をあける。外の階段を足音を立てないように降りていく。
100メートルほど離れたところに商店があり、そこまで走っていきたいのだが、すでに泥酔しているので走れない。パーカーをかむり、見つからないよう早歩きで商店へ向かう。
近所の商店で酒を買う
実は、あまりに酒ばかり飲むので寝てる間に財布を没収されたことがある。
しかし近所にあるのは昔からある商店で、今どき珍しくツケが効くのである。一升紙パック入り焼酎を手に取り、レジのおばちゃんのところへ行き、ポケットをまさぐる。
私「あっ、財布を忘れた」
と、すっとぼけていう。
「ああ、じゃあツケときましょうね」
とおばちゃんが言ってくれるので、こちらは大助かり。コンビニでこんなことはできない。
そして夜まで焼酎を飲み続ける。夕食の食卓にも呼ばれない。でもいい。カロリーは酒から摂れる。ビタミンはサプリで摂ればいい。
次の朝起きると、またアルコール離脱症状で手が震え、足が震え、脂汗が激しく出てくる。また焼酎を入れ、同じことを繰り返す。もう止まらない。自分では止められない。
「喉が渇いたから水を飲みたい」ように、「酔いが覚めたら酒を飲みたい」のだ。もはや本能の欲求である。止めるには、入院するしかない。
アルコール依存症のアルコール離脱症状はつらい まとめ
- アルコール離脱症状、つまり手が震える、不安感・焦燥感などの症状はかなりつらいものです
- 酒を追加することにより、そのつらさから逃げることができます
- 飲む、寝る、離脱症状、飲む、寝る、離脱症状の繰り返しでアルコール依存症の連続飲酒が止まらなくなります
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