私はブラックアウト(泥酔して記憶がないこと)して失神し、小便をたれ流していました。
そして妻とその妹は、失神しているぼくをなんとか車に乗せ、広島で一番有名な精神病院である瀬野川病院へ向けて走りました。
家から病院まで車で1時間は走らなければならないのです。
酒で失神している夫を精神病院へ連れていく、妻として、なんという惨めな思いだったのでしょうか。
酒を飲みすぎて失神して、ズボンを着替えさせてもまだ小便をだらだらと漏らしている旦那を乗せて精神病院へ向かうのです。



普通ならキレてほおっておくか、家を追い出されるかどっちか。
妻はどんな思いで運転していたのしょうか。
単に看護師の職業柄、見捨てるわけにはいかなかっただけなのか。
少しは愛情が残っていたのか。
今、考えると、単に前者だったのだと思いますが。
とにかく運転が嫌いな妻は、普段いっさい通ることのない道を、失神して小便をたれ流し続ける旦那を、病院をたらい回しにされた旦那を、リアシートに乗せ1時間ほど運転して瀬野川病院へ着きました。
瀬野川病院(精神病院)での診察



私の中に断片的に残っている記憶は、診察中の景色でした。
何かを、医師と話していました。
前回入院した時の主治医は、とにかく気分屋で、精神科の患者をモノ扱い、というか人間として見下しているような印象を受けました。
それは、アルコール依存症や薬物依存、うつ病などの患者は人間的にもろい部分、弱い部分があることは確かです
しかし、一般人ならともかく精神科医が患者を見下すような態度はぜったいしてはならないと思う。
しかし、前回の主治医はそうだったのです。
前回の診察中、お菓子を食べながらコーヒーを飲んだのです。妻も信じられないと言っていましたが、そんな医師なのです。
診察のたびに気分を害しました。



あまりにも嫌気がさしたため、「主治医を変えられないものか」と看護師の妻に問うと、「入院中は変えられない」とのことでした。
診察のたびに嫌な思いをしましたが、なんとか我慢して3ヵ月耐えました。
今回診察してくれているのは別の医師で、患者から良い評判を聞いていたため、主治医になってほしい旨を強く伝えた、ハズです。
しかし、診察室に誰がいたか、妻もいたのか、まるで記憶にない。
主治医の顔以外はまったく記憶にないのです。
精神病院での診察はストレッチャーの上で



私としてはそういう記憶なのですが、妻に聞いた話では
「ぐらぐらして椅子にまともに座れるような状態ではない」
ひどい泥酔状態のため、ストレッチャー(大きな病院で見かける、車輪がついた担架)に乗せられ、そのまま診察されていたとのこと。
車を駐車場に停めたはいいが、そこから私は歩けなかったハズです。
妻が病院の看護師にストレッチャーを頼んだのでしょう。そして駐車場から何十メートルか離れた病院の入口を通り、診察室へ運び込まれたようです。
私は時々意識が戻り、喋ろうとしてストレッチャーの上で起きようとした。
しかし、起き上がると身体はグラグラで、何度も倒れる、そんな状態だったらしいのです。
まともに座ることができないほど泥酔しおり、喋っても何を喋っているのか聞き取れない。そんな状態だったと。
診察後、閉鎖病用に運ばれ、そして鉄格子の保護室に入れられたました。
アルコール解毒用の点滴も打たれました。しかし私にはまったく記憶がないのです。
また意識がなくなり、寝てしまったようです。