強制入院、医療保護入院でまた保護室へ 精神病院体験談(2-8)

強制入院、医療保護入院でまた保護室

私はアルコール依存症で精神病院の閉鎖病棟にいくたびか入院しました。

この記事は、精神病院で起こったことや体験談を書いたものです。

めちゃめちゃな診察を受けた(らしい)私は、診察室を後にしました(らしい)。

意識がとぎれとぎれで、半分は失神している、そんな状態でした。

当然、医療保護入院となったようです。

●筆者筆者

 


メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。

※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします

医療保護入院とは

医療保護入院とは?

入院形態について簡単に説明します。

精神病院の入院形態は3種類、「任意入院」「医療保護入院」「措置入院」があります。

任意入院とは

任意入院はいわゆる普通の入院で、入院が必要な精神病患者が、本人が同意して入院する形態です。

任意に入院したので、いつでも退院ができます

医療保護入院とは

精神病院の患者
精神病院の患者

入院しなければならないほどの精神病患者で、自傷や他人を傷つける可能性はないですが、任意入院ができない患者をなかば強制的に入院させる入院形態です。

精神科の医師、または家族の同意が必要です。

自分が治ったといっても退院はできません。退院するにも、主治医と家族の同意が必要になります。

アルコール依存症、双極性障害、統合失調症などに多いです。もちろん本人は入院したくないため、親、配偶者が無理矢理連れてきて入院させる場合が多いです。すぐには退院できず、たいていワンクール、つまり3か月ほど閉じ込められます

統合失調症などはもっと長い場合もあります。

措置入院とは

措置入院は医療保護よりもっとひどい状態で、入院させないと自傷や他人に危害を与えるおそれのある精神病患者を強制的に入院させます。精神科医2名の診断が一致した場合に措置入院させられます。

警察から患者が送られてくる場合もあります。なぜかというと、覚せい剤、麻薬、酔って暴力事件などを起こした人を入院させることができるからです。

私が見た限り、入院時に暴れていたが日にちが経つと実はおとなしい(覚せい剤、麻薬で性格が変わっていた)人が多いです

参考 厚生労働省

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ここからは私の経験談になります。

アルコール依存症でまた入院、閉鎖病棟の保護室へ

私は意識が半分ないまま、診察が終わるとストレッチャーで運び出された(らしい)。

ストレッチャーで運ばれる

精神科医の診察が終わるとストレッチャーで運び出される
精神科医の診察が終わるとストレッチャーで運び出される

焼酎の入れすぎで半分意識がない、半分起きている。そんな状態でストレッチャーに乗せられた私はずっと廊下を通り、ドアを開け、どこかの部屋に入れられた。

じょじょに酒が抜け、意識が戻ってくる。

ハ、と気がついたら、鉄格子の部屋の中で寝かされていた

またもや保護室に

私「まただ・・・・・・ また保護室だ・・・・・・

私がいるのは、また前回と同じ保護室。

精神病院の保護室のようす

精神病院の保護室の木の壁
精神病院の保護室の木の壁

壁は茶色く塗られた木の壁。茶色く塗られた床のタイル。

鉄格子の面は、警察の留置所とは違い茶色く塗られ、一応、むき出しの鉄ではなく木にみえるようにはなっている。鉄格子にはめられている扉も、茶色い木目のビニールが貼られ、一見、鉄には見えない。

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格子と格子のあいだには、プラスチックの透明な板がはられている。これは、冷暖房が効くようにとの気遣いのようだ。

医療保護入院で保護室へ
医療保護入院で保護室へ


木の壁には、「出してくれー気が狂う」とか「しにたいしにたい」など、保護室に閉じ込められた患者が必死に爪でひっかいた後がある。

天井は、元々は白だったのがうす汚れて染みがついたような、学校の天井のような色に変わっている。

蛍光灯と直径15センチくらいのスピーカー、火災報知器にスプリンクラー。天井の角には、50センチ四方くらいの黒いプラスチックの板があり、そこに透けて監視カメラが見える。

地べたに敷かれたマットがベッド

とにかく、なにもかも茶色。

床には、一畳くらいの水色のマットが地べたに直に敷かれている。マットの上には、ベージュ色の古めかしい掛け布団。布団カバーやシーツなどはない

精神病患者はそんな扱いなのだ。トイレではなく、ふとんの上に糞尿をする患者もいたりするため、致し方ないともいえる。

部屋の奥にはトイレがある。ステンレス製の鈍く光る便器があり、座面は一応プラスチックで肌色になっている。トイレットペーパーが1つ、奥に置いてあった。

トイレをしても流せない

精神病院の保護室のトイレの便器
精神病院の保護室のトイレの便器(こんなにオシャレではない)

小便をしても、自分では流せない。話によると、便器の水を飲む患者がいたので、部屋の外でボタンを押さないと流れない仕組みになったようだ。

なので、大便をしても看護師が通りかからないと水は流せない。臭いが充満するため、ティッシュペーパーで排泄物の上にフタをするしかない。夏場など、あまりにも臭うと、いちいち看護師を呼んでトイレを流してもう。

そう、前回とまったく同じだった。

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アルコール依存症は必ず保護室で点滴

アルコールを抜くための点滴
アルコールを抜くための点滴

保護室に軟禁される

患者の間では「Z」と呼ばれる、閉鎖病棟の保護室の中に私はいた。保護室に監禁状態だ。

もちろん鉄の扉は鍵がかかっていて、押しても引いてもビクともしない。ただひとり、鉄格子の部屋に監禁されている。前に入院した時とまったく同じだ。

同じような部屋が右にも左にもある。後で数えたら、牢屋のような保護室は20床(でいいのか?)ほどあった。緊急入院のため、いつも2部屋くらいは空床(と呼んでいいのか?)になっているようだった。

アルコールを抜く点滴を打たれる

前回は夜寝る時間に怒鳴ったり、壁を殴りつける患者が何人もいて、眠るどころではなかった。妻は耳栓を用意してくれたのだろうか。

アルコール依存症者はまず保護室に入れられ、解毒用の点滴を打たれる。最低4回は打たれる。午前、午後、午前、午後と最低2日は点滴に縛り付けられ、不自由この上ない時を過ごさなければならない。

症状がひどい、幻覚幻聴がでるような患者は1週間ほど続けて点滴を打たれる。点滴棒を持ちながら喫煙所に行ったりするためとても面倒くさい。
※現在は院内禁煙となっている。

保護室では時間がたたない

点滴の嵐
点滴の嵐

寝ころんで、天井をぼーっと見ていた。

そして、ときどき通りかかる看護師を鉄格子のすきまから見る。今は廊下に時計が設置されたが、当時はまだ時計がなく、今何時なのか時間がいくら経ったのかがわからない。10分ほど時が過ぎた、いや、1時間くらい過ぎたのではないか。とにかく時間が分からない。

アルコールが抜けていき、だんだん正気に戻ってくる。正気に戻るにつれて血中アルコール濃度が下がる。そして離脱症状が出始め、不安感、恐怖感などが心の底から湧き上がってくるのだ

精神的な離脱症状が治まるまで3~4日はかかる。それより短いあいだに肉体的な離脱症状の手の震えや発汗も出てくる。早く時が過ぎてほしい。しかし、時計がないことにはいくら経ったのか時間がわからない。

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保護室の中で狂いそうになる

だいぶん時間がたったように思った。

夕方になるまでが24時間に感じた

保護室の中の夕焼け
保護室の中の夕焼け

鉄格子の隙間から、刷りガラス越しに夕焼けがみえる。やっと夕方だ、長かった。

何日も何日も保護室に閉じ込めらていたら発狂しそうになる。いったことはないが、刑務所の中で隔離される「独居」と同じようなものではないのか。実際に刑務所に行ったヤクザの人からは、刑務所のほうが楽だと聞いた。テーブルを作ったりだの作業があるので、一日があっという間に過ぎるそうだ・・・・・・

保護室の中では発狂しそうになる

保護室の中で発狂
保護室の中で発狂

こちらはアルコール離脱症状が襲ってくるため、正気でいるよりはるかにつらい。

脂汗がでてくる、強烈な不安感に襲われる、手足が震える、酒が飲みたい・・・・・・正気を保てなくなり、発狂しそうになる

ここにいったい、何日閉じ込められるのだろうか。私はずっと正気でいられるのか、それとも正気を保てなくなるのか・・・・・・そんなことを考えつつ、茶色の鉄格子を見ながらぼう然としていた。

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まとめ 強制入院、医療保護入院でまた保護室へ 精神病院体験談

  • アルコール依存症で入院すると、酔っていればほぼ保護室に閉じ込められます
  • 保護室でアルコール解毒用の点滴を打たれますが、1回2時間、午前午後が2~3日続き、つらい目に合います。点滴の成分を見たらたいしたものは入ってなかったので、ポカリスエットでも飲んで酔い覚ましした方がマシだと思いました。
  • そのころの瀬野川病院はタバコが吸えた(今は全面禁煙)ため、タバコが唯一の気分転換で、待ち遠しい限りでした。


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