私はアルコール依存症で精神病院の閉鎖病棟にいくたびか入院しました。
この記事は、精神病院で起こったことや体験談を書いたものです。
精神病では、アル中の酔っ払いや狂暴な患者は、閉鎖病棟の保護室にひとり隔離されます。
●隔離とは
精神病の患者の行動制限に「隔離」があります。隔離とは「中から患者の意志では出られない部屋へひとり入出させ、他の患者から遮断する」ことで、12時間以上と定められています。
該当患者は
- 他の患者と人間関係を損なうなど
- 自殺・自傷行為がある
- 暴力や器物破損がある
- 興奮、不穏(わけがわからない状態)、多動など
- 検査、処置のため
Wikipedia 閉鎖病棟 より抜粋
●この記事に書いてあること
入院4日目、やっと保護室の隔離状態から解放されます。やっと人間らしい生活を送れるようになったのです。
それまでは、文字通り囚人でした。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
閉鎖病棟・保護室で隔離されたまま朝を迎える
今朝で4回目の朝。閉鎖病棟の保護室の檻の中で迎えた。また日の出前に目が覚めたのだろうか、相変わらず窓は薄暗く、少し青みがかかっている。
そして、時間がわからない。
4時なのか5時なのか。6時過ぎると検温などで看護師がバタバタ動くので分かるのだが・・・・・・
しばらく待ったのか、数時間待ったのかよくわからないが、ガチャガチャと鍵の音がし、ガチャリとドアがあいた。
看護師「マロさん、検温お願いします」
どうやら6時を過ぎたようだ。
体温計は一般の脇にはさむヤツと、オデコにあてて1秒で計れるヤツとがある。(当時、オデコのは珍しかった) 今朝は1秒で計れた。ほんのささいなこと、どうでもいいことが嬉しかった。
そしてまたしばらく待っていると、看護師が「朝ごはんですよ」と廊下の通りかかりに言い、鍵をガチャリとあけて去っていった。
保護室で隔離されると、タバコが恋しい
しかし朝の本音は、朝メシよりもなによりも、タバコが吸いたいのだ。昨日の夕食後依頼、12時間以上吸っていないため、アルコール離脱症状にニコチン禁断症状が起こっている。
飯を食べないと喫煙できないため、しかたなく飯を食べる。
食パンをトースターで焼いて食べた。気がつくと、入院当初よりも随分食べれるようになっていた。酒もコーヒーも飲まずに3食きちんと食べるため、胃腸が復活したのだ。
そして食べ終わると、一目散に喫煙所に向かう。一服しながら、前回たまたま同じ時期に入院していた旧友と話をした。
彼はどうやって手に入れたのかわからないが、ポケットにタバコを1箱隠し持っていた。見張りの看護師が他所を向いているスキに、1本いただいた。貴重な1本が嬉しい。このような場所ではお互い助け合わないといけない。
灰皿に鎖で繋げてあるライターを使っては看護師にバレてしまう。吸い終わった1本目から2本目にじっくりと火を移した。あたかも1本目をゆっくり吸うフリをして2本目をゆっくり味わうのだった。
タバコは、朝飯、昼飯、3時、夕飯後のたった4本だ。ヘビースモーカーではないが、4本というのはかなりつらい。一日中、ニコチンの禁断症状に襲われていることになるから。
いっそのこと、タバコ無しにしてくれたほうが楽かもしれない。(現在の瀬野川病院は終日禁煙でタバコは吸えません)
一服がおわったら、歯磨きして、また保護室に戻される。なるだけゆっくりと歯磨きし、テレビのニュースを観て「そろそろ部屋にもどってください」と言われるまで粘る。
マンガ雑誌をいくつか手に取り、保護室へ戻る。だいぶ正気に戻ってきたのか、マンガも読めるようになっていた。
閉鎖病棟の保護室からの開放
古い少年ジャンプを読みふけっていると、廊下に足音がやってきてガチャガチャリと鍵を開けられました。
看護師「中間開放になりましたので、デイルームに出て良いですよ」
そしてドアを開けらた。
やった!やっと保護室の隔離から開放!
部屋から自由に出られるようになった。隔離の刑では、3食と3時のタバコ、計4回、15分かそこらしか保護室から出られなかったのだ。あとはずっと保護室の鉄格子に隔離されていた。
保護室から開放されるとテレビを観られる
中間開放になり保護室から開放されると、午前中は2時間ほど、午後は3時間ほどデイルームで過ごすことができる。
デイルームにはいくつかのテーブル、椅子とテレビ、少しのマンガがある。テレビを観てよし、小さな本棚の少年ジャンプや単行本を読むのもよし。多少は自由の身になった。
隔離から解放されたら作業療法に参加
そして作業療法士さんが午前と午後に来て、作業療法、つまり筋トレやストレッチ、ゲームやパズル、音楽鑑賞、ビデオ鑑賞などがある。デイケアみたいなものだ。
今は亡きMOにまた懐かしい曲がたくさんダビングされていて、曲名がかいてあるファイルをを見ながらリクエストする。
ほとんどが邦楽だが、すこしだけビートルズやストーンズ、カーペンターズなどの洋楽もいくらか揃えてあったので、よくリクエストした。
「レット・イット・ビー」(どうにでもなれ)なんか今の状況にあってるな、とも思いつつ何度もリクエストした。
一番うれしいのが「他の人間と会話できる」ことだった。
えんえんと72時間ずっと繰り返してきた、過去の反省、会社の解雇、離婚、愛娘との別れ、という未来のシミュレーションから開放されたのだ。
デイルームの1つの机に、中間開放の患者たちが何人か集まっていた。久しぶりに、人間と、会話した。
保護室の隔離から解放 まとめ
待ちに待った保護室の隔離からの解放、これでマイナス思考から遠ざかることができます。
タバコは自由に吸えませんが、テレビやマンガ、作業療法などで時間を潰せ、なによりも人間としゃべることができるのです。
長かった・・・・・・保護室の隔離。
落ちていた気分が上がってきました。
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