精神病院は合法ドラッグ(脱法ドラッグ)患者と入れ墨ばかり 精神病院体験談(2-24)

合法ドラッグの入れ墨の患者

※記事は事実をもとに構成されており、決して薬物の乱用を勧める内容ではありません。

当時2013年春ごろまで脱法ドラッグ(合法ドラッグ)はその名の通り合法だった。

●脱法ドラッグ、合法ドラッグとは

合法ドラッグ(脱法ドラッグ))

当時、覚せい剤やその他違法薬物の分子構造を少し変えて、〇〇ハーブなどいろいろな名前を付け法の目を逃れネットなどで販売されていた。分子構造を少し変えると別の薬物になるため、これまでの法律では取り締まれないのだ。

規制しても規制しても次々と分子構造を変えて新種の脱法ドラッグが出てくるため、「いたちごっこ」と呼ばれていた。2013年に、たまりかねた国が大きく法律を変える。厚生労働省のホームページに以下のように記されている。

平成26年4月1日より指定薬物の所持、使用、購入、譲り受けが新たに禁止されます。

違反した場合、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれらが併科されます。

薬事法により、指定薬物の輸入、製造、販売、授与、販売若しくは授与目的での貯蔵又は陳列については禁止されていましたが、所持、使用等について特段の規制がなく、指定薬物を含む脱法ドラッグを安易に入手し使用する事例が数多く報告され、急性毒性や「依存症候群」等の精神症状を発現した事例、交通事故等による他者への危害事例が頻発しています。

厚生労働省では、このような状況に対応し、新たな乱用薬物の根絶を図るため、指定薬物の輸入、製造、販売等に加え、所持、使用、購入、譲り受けについても禁止することにしました。

厚生労働省 平成26年4月1日より指定薬物の所持・使用等が禁止になります
より引用

ちょっとお堅いが、ざっくり要約すると「合法ドラッグのような、分子構造をちょっと変えただけの薬物もぜんぶ違反とします。所持・使用・購入もぜんぶ取り締まります」ということらしい。

この法律の寸前に何が起きたかというと、警察が合法ドラッグを使った人を捕まえても「逮捕」できないため、保護して全員を精神病院に送りこんできたのだ。

これまで精神病院の患者はアルコール3割、薬物1割くらい、残りが慢性疾患(重い統合失調症など)だった。ところが法律施行前に急に薬物依存が増え、半分ほどの患者が合法ドラッグというありさまになってしまった

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●筆者筆者

 


メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。

※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします

閉鎖病棟・保護室の入院患者

精神病院の保護室の入院患者
精神病院の保護室の入院患者

デイルームで、いつも4~5人の男性がひとりの女性を囲んで談話しているのに気がついた。笑い声が絶えない。キ〇ガイじみた患者ばかり診てきたので、普通の人と喋りたい。「この人たちはまともな連中かな」と思い、自己紹介をして話に加わってみた。

入院仲間(1)合法ドラッグ(脱法ドラッグ)の患者

合法ドラッグ(脱法ドラッグ)依存の患者
合法ドラッグ(脱法ドラッグ)依存の患者

一人は、全身彫り物だらけの30代半ばくらいのお兄さん。手にも、半ズボンの足にもいたるところに入れ墨がある。バラバラな彫師で入れた、という感じだ。

薬物で入院しているといっていた。長袖なのに、手首から手の甲に彫り物が見えているが、別に怖い風でもなく明るい感じでよくしゃべる人だった。

話を聞くと、昔はやんちゃしていたが今は真面目にしている、と本人はいう。そのマスダさん(仮名)は、「ドラッグで入院した」のだと言ってたから、合法ドラッグで警察から病院に突っ込まれたのだろう。ちっとも真面目じゃない。

合法ドラッグは法律の抜け穴を見つけ、違法にならないように製造された薬物だ。アメリカのスーパースターな歌手や芸能人などが使用していたことで有名になり、日本でも販売されていた

(合法ドラッグは、2012年4月から法律が厳しくなり違法となった。しかしこの話の、3月時点では合法だったため逮捕するわけにもいかず、警察が措置入院として精神病院に送り込んだらしい)

マスダさんはまともに就職したいのだが、面接でいつも落とされるという。そりゃ、手の甲にまで彫り物を入れている人間を、まともな会社が雇う訳がない。

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入院仲間(2)またも入れ墨の患者

入れ墨の入院患者
入れ墨の入院患者

マトイさん(仮名)という私より少し年上のお兄さんは、よく興奮してベラベラ喋っている。躁うつ(双極性障害)かもしれない。この人も両手・両足に入れ墨がはいっていた。

私がこの病院に入院歴があると言ったところ、「現役はおるか?」と聞いてきた。何のことかよくわからないので聞き返したら、「この病院に、現役の筋モノは入院しているか」という意味だっただったようです。

要は「現役のヤクザはいるか?」ということだ。その筋に縁があるようだが、「カタギなのでよくわからない」と答えておいた。

私たちは普通3~5日程度で地獄の保護室から出て、一般の閉鎖病棟に移れる。しかし、たぶん彼は主治医や看護師に反抗的な態度をとりつづけたようだ。それに、毎日誰かに電話をしている。その筋か、もしくは弁護士しだろう。

1か月くらい保護室エリアに閉じ込められていました。

最後は弁護士か精神保健センターか誰か国家権力を使って、退院にこぎつけたようだ。うれしそうに退院していった。

入院仲間(3)病院内で化粧をするこぎれいな女性

精神病院の小ぎれいな患者
精神病院の小ぎれいな患者

さきほどの紅一点の女性患者。小ぎれいなオネーサンは、病院内なのに化粧をしていた。キ〇ガイばかりいる精神病院で、誰に見せるというのだろうか。

そのマユミさん(仮名)という女性は、男に薬漬けにされたのだといった。また薬物依存だ。違法薬物の被害者だ、と本人はいうが、どうだか怪しい感じもしないでもない。

最初のきっかけは男に打たれた、しかし結局、本人がハマってしまう話はよく聞く。

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入院仲間(4)アルコール依存症だがシャキッと元気な65歳

四股を踏むアルコール依存症患者
四股を踏むアルコール依存症患者

一番年上に見えるのがミヤモトさん(仮名)とう白髪頭、中肉中背、65歳のお爺さん。病名はというと私と同じアルコール依存症。仲間が増えるのはうれしいものだ。

ミヤモトさんは朝の日課で、相撲取りのように「四股(しこ)」を踏む。足を肩幅より大きくあけ、ヒザを曲げる。それぞれのヒザに、手をおく。そのまま右足をゆっくり大きく上げ、そのまま床に足をたたきつける。

今度は逆に左足をゆっくり大きく上げ、そのまま床に足をたたきつける。まるで小さな横綱だ。

マネしてやってみたのですが、これがまた難しい。片足でバランスを摂りながら、反対の足をゆっくり上げる。テレビの横綱のように四股を踏んでごらんあれ。なかなかできない。

朝一の四股を30年やっているといっていた。普通、アル中は体がボロボロになる。しかし、日課の四股のせいか、ミヤモトさんはアル中の65歳にしてはピンピンしていた。私も真似て退院するまでずっとやり続けた。

保護室の入院仲間(5)

あとは、ヤマダくん(仮名)という軽い統合失調症の青年と、認知症であろうと思われる70代のオジイサンだ。

ただの認知症なら、瀬野川病院のようなバリバリの精神病院に入れなくても、それなりの老人介護施設があると思われるが、なぜか精神病院に入れられていた。不思議に思ったが、面倒なので聞かなかった。

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保護室の仲間と過ごすようになる

閉鎖病棟の灰皿
閉鎖病棟の灰皿

以後このメンツで、昼間は菓子やジュースを持ち寄りながら、時にはタバコを吸いながら談笑して過ごすようになる。

保護室の場合、菓子などは毎週金曜日に補助看さんに頼めば、買ってきてくれる。お菓子・日用品のリストを渡されるので、メモに欲しいものを書き込んでいく。

それは入院当初からできることだったらしい。まったく知らずに、鉄格子のなかで空腹に耐えながらアルコール離脱症状と闘っていた。飴玉でも食っておけば、もうちょっと気分が楽だったかもしれない。

彼らと話すことにより、心がまぎれて、落ち着いてきた・・・・・・


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