アルコール依存症になる人は、並行して別の依存症にもなりがちです。なかでもギャンブル依存症などを併発する人が多いです。これをクロスアディクションといいます
●記事の内容
ギャンブル依存症の症状、クロスアディクション、ギャンブル依存症とアルコール依存症・違法薬物との違い、ギャンブルでよくある考え方、治療法などを書いています
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
ギャンブル依存症の症状
ギャンブル依存症の人は、脳内でなにが起こっているのでしょうか。どうして依存してしまうのでしょうか。
ギャンブル依存症の脳内
賭け事をして、「当たる」瞬間を見るとき、脳が高揚感を感じる「報酬系」と呼ばれる部分に、大量の「ドーパミン」が分泌され活性化し、快感を感じます。
最初はこの高揚感を求めて繰り返しギャンブルを行います。しかし依存体質になると、やめたいと思ってもなかなかやめられない状態になります。
ギャンブル依存症の特徴に以下のようなものがあります。
- ギャンブルにのめり込む
- 興奮を求め掛金が増えていく
- ギャンブルをやめようとしてもやめられない
- 賭け事をしていないと落ち着かない
- 負けてもギャンブルで取り返そうとする
- ギャンブルのことで借金したり嘘をついたりする
参考:アルコール健康障害・薬物依存・ギャンブル等依存症 依存症対策全国センター
ギャンブル依存症と、アルコールや薬物依存は似た部分が多いのです。アルコール・覚せい剤・違法薬物などは、多くはドーパミンを活発にし、脳の報酬系が活性化し、快感を得ます。その快楽が止められなくなり、アルコールや薬物に依存してしまいます。
ギャンブル依存症も、勝った時にドーパミンにより脳の報酬系が快感を感じるので、アルコールや薬物の依存症と近い症状になります。
クロスアディクションとは
クロスアディクションは、アルコール依存と薬物や、窃盗と摂食障害、セックス依存と薬物など、複数に依存する状態です。
また、違法薬物をやめたがアルコール依存症になったり、アルコールをやめたがギャンブルにのめりこむなど、1つの依存をやめたが別のものに依存していくこともあります。
アルコール依存症から薬物依存や窃盗など、社会的な罪が重い依存に発展していくケースもあり、1人の社会人としてまっとうな生活が送れなくなります。
ギャンブル依存症とアルコール依存症・違法薬物との違い
ギャンブル依存症は決して違法ではありませんが、金銭的に生活ができなくなるところまで追い込まれます。
ギャンブル依存症とアルコール依存症・薬物依存の違い
ギャンブル依存症の行きつくところ
ギャンブルは、一般的には時々勝ちますが、1年を通して収支をつけると負けます。(パチプロ、プロの雀士などを除く)
特に公的ギャンブルである競馬・競輪・ボートなどは、掛け金の30%を胴元がとって、70%を客に返します。
簡単にいうと、でたらめに100万円分の馬券を購入すると、JRAが30万円とった残りのたった70万円分を「当たり馬券」として返してくれます。こんな勝率では勝ち続けることは不可能です。
宝くじはもっとひどいです。50%を親がとって、子には50%しか帰ってきません。10億円分の宝くじを購入しても、5億円しか帰ってこないのです。1等が当たっても。
パチンコ・パチスロは90%程度です。ただ、あっという間に1、2万円と負けてしまうのは、回転率が高い(パチンコ玉やコインの消耗スピードが早い)からです。ジャグラーや甘パチみたいに波があまりない機種は、そんなものかもしれませんね。
ただ、昔のパチスロ4号機以前は、当たりやすい回転数のゾーンや小役設定差などがあり、設定⑤⑥いわゆる「出る台」を打てば勝てていました。副業で20万円以上です。大学生などは時間があるため、もっと勝っていました。
しかし、現在の5、6号機はほぼ平等になっているため、誰が打っても勝ち負けはあまり変わりません。ということは、店側の利益分、負けるということです。
プロでもない限り結局は負けてしまうため、ギャンブル依存症者は負けを取り戻そうとします。借金をして、公営ギャンブルでは5万円賭けていたところを10万円にするなど掛け金を大きくし、パチンコ・パチスロではより波の大きな台を打って取り戻そうとします。
結果再び負けて、借金を繰り返します。「次で取り返す。」という思考回路になります。勝ったとしても「負ければまた借りればいい」と考え始めます。
最後には隠していた借金は多重債務となり妻にバレたり、利息すら払えなくなります。家に貯金がなければ普通は離婚沙汰になります。
独身の場合は自己破産になり、その後不自由な生活を強いられます。
あるいは、コンビニなどでたった数万円の強盗を働き、逮捕・懲戒免職になり離婚が待っています。中には自殺を選ぶ人もいます。
アルコール依存症の行きつくところ
アルコール依存症についてはこのブログのいたるところに書いています。
⇒アルコール依存症の症状とチェック方法|酒の飲みすぎは依存性の原因
⇒飲酒運転・酒気帯び運転はアルコール依存症の症状|逮捕された公務員
最終的には
- 仕事にいかなくなりクビ、働かないので離婚・孤独死
- 飲酒運転で事故、逮捕、懲戒免職
- 肝臓・脳などがアルコールにやられ、病気・死亡
このどれかの道を進む可能性が高いです。
違法薬物の行きつくところ
違法薬物の場合、金額が高いのでにっちもさっちもいかなくなり、最終的には逮捕されるでしょう。懲戒免職となり、それでもやめられないと実刑になり人生破綻します。
ギャンブル依存症、アルコール依存症、違法ドラッグとそれどれ経過が違いますが、最終的にはどれも人生が破綻します。
ギャンブルでよくある考え方
よくギャンブルをする人にありがちな考え方があります。
コイントスをしたとします。
5回連続表が出た場合。
「次は裏が出る確率が高い。5回もつづけて表がでたのだから」
「次はぜったい裏がでる」
このような考え方をし、大博打を打つ人がいます。
しかし、これは大きな間違いです。何回続けて表が出ようが、次のコイントスは表は50%、裏は50%、いつまで経っても確率は変わりません。それなのに大博打を打つと、すぐ破産します。
パチスロのジャグラーで1000回転も当たりがこない台に喜んで座る人がいますが、これも同じことがいえます。「次はあたりが来るはず」と思って座るのでしょうが、確率は同じです。逆に1000回転もあたりが来ない台は、設定が悪いのでほぼ負けます。
アルコール依存症とギャンブル依存はクロスアディクションになりやすい
アルコール依存症とギャンブル依存症は併発することが多いです。どちらも脳内報酬系がドーパミンによる快楽を感じ、依存してしまいます。
お酒をのみながらギャンブルをすると余計に快楽を感じ、しかも酔って自制が効かなくなっているので、クロスアディクションになり破滅への道も早くなります。
まとめ クロスアディクションの治療
クロスアディクションの治療にあたっては、まずはいずれか一つのアディクションの回復を図ることが大切です。一つが回復すると、糸がほどけるように同じからくりで起こっているクロス・アディクションが自然と回復していく場合が多いです。
まず病院で診察をしたのち、以下のような、同じ病気で苦しんでいる仲間たちの会に出席しましょう。
- アルコールの場合、断酒会やAA(アルコホーリック・アノニマス)
- 違法薬物の場合、NA(ナルコティックス・アノニマス)
- ギャンブル依存症の場合、GA(ギャンブラーズ・アノニマス)
あなたの役に立つ記事
- パチンコなどギャンブルをしながら飲む、主婦が昼間から飲むなど、自分や家族がアルコール依存症ではないかと考えている人に
⇒アルコール依存症の症状とチェック方法|酒の飲みすぎは依存性の原因 - 酒が切れた時にどうにもうつ的になって気分が上がらないなどの症状はアルコール性うつです。アルコールとうつは死へのトライアングルのはじまり
⇒うつ病で飲酒して酩酊すると、翌日アルコール性うつに。悪循環のはじまり - 筆者は10年間で1,200万円以上も酒に使っていました。家飲みに変えてからは少し減りましたが、それでも家が建ってます。あなたは?
⇒人生で酒で無駄遣いしたお金、外飲みと家飲みの金額と払った酒税