ケンカで連続飲酒して精神科の慢性期病棟につっこまれる 閉鎖病棟脱走記(2)

仕事のストレスから再飲酒、連続飲酒

(精神病院からの脱走体験談、つづき)

アルコール依存症と診断された私は、会社を半ばクビにされ、それから断酒とスリップ(再飲酒)を繰り返し何社か転々としていた。

アルコール依存症になると、いちおうは断酒をはじめる。しかし「仕事上のトラブル」「ストレス」「我慢できない事」などが続けて起こると、つい酒に手がでてしまう

最初は一杯で我慢する。しかし、これまでずっと飲みたくても我慢していた酒に手をつけるものだから、次の日は2杯、4杯、8杯と増えていき、またたく間に連続飲酒(※)となってしまう。そして仕事にいかず朝から飲み続け、入院し、結局は会社をクビになってしまうのである。

そのためアルコール依存症者はたいてい仕事を転々とする。

私は恵まれていたのか、職歴が良かったのか、ほとんどの会社に正規雇用された。その間に、1回だけ派遣会社を受けてみた。時給は1,000円とそこそこであったが、現場の同じような派遣社員のオッサンと「怒鳴り合う」ような大喧嘩をしてしまったもう少しで手が出そうになるほどの喧嘩だった

喧嘩して連続飲酒、精神病院へ
喧嘩して連続飲酒、精神病院へ

その晩、むしゃくしゃして飲んでしまった。そして1回飲みはじめた酒は、やはり止まらなく(※)連続飲酒に入った。

※連続飲酒とは

朝から晩まで飲み続け、飲酒をコントロールできない状態

朝起きると酔いが覚めているためアルコール離脱症状(手の震えや不安感など)を感じ、つらい思いをする。
参考:手の震えはアルコールの離脱症状|アルコール依存症の家族から見てわかる症状

しかし、酒を飲めばすぐ治まるため、朝から飲まずにいられないのである。まっとうな人間に戻るには、「入院する」か、「根性で酒を切る」しか方法はない。しかし、ほとんどのアル中は自分で酒を切ることができず、精神科に入院するハメになる。アルコールという薬物依存の病気だからである。

スポンサーリンク

●記事の内容

新しい会社に入社したものの、女性職場でのストレスがひどく、飲酒、そしてまた連続飲酒へ。前回の退院から間もなかったため、精神病院の急性期ではなく慢性期病棟へ入れられるまでのいきさつを書いています。序章です。

●筆者筆者

 


メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。

※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします

ストレスで再飲酒をはじめ、また連続飲酒に

第1話の精神病院・閉鎖病棟体験談から幾年か経ち、季節は秋になっていた。今から5年くらい前の話である。

知り合いのケアマネの口利きで、「サービス付き高齢者向け住宅(老人ホームのようなもの)の施設長」というとてもありがたい立場で就職ができた。しかしそこは介護系によくある、私以外はすべてオバサンという女性職場だった。

オバサンばかりの女性職場
オバサンばかりの女性職場

古参の女性職員、いわゆる「お局さん」とパートのヘルパーさん(コチラもオバサン)との間にいつもはさまれる立場になってしまった。なにか問題が発生するたびに施設長である私が間にはいり、人間関係がこじれないよう調整しなければならない

オバサン同士の派閥があるし、もめている両方のオバサンの機嫌をとらないと仕事がすすまない。ギリギリのカツカツでローテーションを回しているため、夜勤の日などに休まれては困る。

1か月くらいで心身ともに疲れ果ててしまった。まあ、これは言いわけといえば言いわけである。

そして我慢の日々がつづき、肌寒い12月になった。言いわけをしつつ、そしてとうとう飲酒を始めてしまった。始めは隠れ酒、夜にこっそり隠れて飲む程度だった。数日間は妻にバレずにすんでいた。

しかし、やはり数日間でバレ。連続飲酒にはなっていたものの期間が短く軽い症状だったため、「任意入院」のカタチで生命保険給付金が支給される限度ぎりぎりまで入院することになった。

施設長」の職のほうは、というと。まだ3ヵ月の試用期間中だったため「解雇!」となってしまった。すごくもったいないことをした。

スポンサーリンク

精神科の慢性期病棟

再飲酒して連続飲酒へ
再飲酒して連続飲酒へ

本来「任意入院」の場合、自分の都合の良い日に自由に退院できる。しかし、生命保険給付金をもらう関係上、ムリヤリ1ヵ月延ばして入院していた。内なる潜在意識に気が付かないうちにイライラがたまっていたのか。それとも解雇がショックだったのか。いまさらすべてが「言い訳」にすぎないが

退院後、たったの2週間でまた再飲酒を始めてしまった。こんどひどい連続飲酒に発展し、1か月もたたずにまたも入院。この退院から1ヵ月以内の再入院が大失敗だった。

これまでは瀬野川病院の1階の急性期病棟だったのが、2Fの慢性期病棟へ入院することになってしまったのである。当然、閉鎖病棟だ。

精神科の慢性期病棟に入院
精神科の慢性期病棟に入院

慢性期病棟の精神病患者は、それこそ魑魅魍魎だったのである

まとめ ケンカで連続飲酒、精神科の慢性期病棟につっこまれる

断酒をしているアルコール依存症者は、ふとしたきっかけで再飲酒することがあります。例えば1年間ずっと酒を我慢したのに、強烈なストレスやトラブルでスリップすることがあります。

そうなると、ずっと我慢してきた酒を入れることになるため、ダムが決壊したごとく大酒を飲んで止まらなくなってしまいます。この、「普段は飲まない」「飲み始めたら止まらなく飲む」ような状態を「山型飲酒」といいます。

私は文字通り山型飲酒で止まらなくなり、入退院を繰り返しました。


スポンサーリンク

あなたに役立つ記事