夜の繁華街では、泥酔しへべれけになって歩けないような人をよく見かけますね。実は警察官は、そのような人をパトカーにのせて警察署や病院などで保護しなければならないのです。
●泥酔保護とは
泥酔保護とは、ひらたくいえば「警察官は、酔って危険な状態の人を『保護』しなければならない」という法律に基づいて、よっぱらいを保護することです。
保護する際に暴れたりすると、手錠をかけることもあるのです。法律には次のように記載されています。
警察官職務執行法 第三条の一
第三条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して左の各号の一に該当することが明らかであり、且つ、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由のある者を発見したときは、とりあえず警察署、病院、精神病者収容施設、救護施設等の適当な場所において、これを保護しなければならない。
警察官職務執行法 より引用
一 精神錯乱又はでい酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす虞のある者
要するに、泥酔して暴力をふるったり、暴れて器物破損したり、自傷行為を行う危険がある人は、警察署や病院等に「保護しなければならない」と述べています。
「保護してもしなくてもどっちでもいい」わけではなく、「保護しなければならない」と強制力を持っています。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
では、精神病院からの脱走体験談のつづきです。
夜、品川ナンバーのアウディの下に潜り込む。
そこで焼酎を気絶するまで飲んで、睡眠薬なしで寝る。
一週間くらい、そんな生活を続けていた・・・・・・
公園で酒を飲む
毎日毎晩、酒を飲み続けたので、もう日付も曜日もわからなくなっていた。脱走中だから、別に日付も曜日も要らないのだが。
うちの近くの公園では、ニンテンドーDSなどのゲームばかりしている少年たちを見かけるが、ここの公園の子どもたちはみな健康的に遊んでいた。
子どもたちのキャーキャー言う声を耳にしながら、目を閉じた。
警察官に囲まれ泥酔保護にされる
「もしもし、起きてください」
オジサンの声で、急に、起こされた。心地よい酔いの中、急に、起こされた。
花だんの淵に寝転がっていたので、起き上がって見渡すと、なんと、警察官5人に取り囲まれていた。
「大丈夫ですか? 起きれますか?」
起きられるが、これはいったい何なんだ。なぜ警察官に囲まれているんだ。
いったい何が起こっているのだ。なにがなんだかわからない。
博多弁で警官がいった。「あのですね、『公園にずっといる不審な人がいる』って通報があったのね、ちょっと確認させてもらえるとね?」
はぁ!? 公園って「ずっといる」場所じゃないの? 公園に来て1分で出ていく人なんかみたことないぞ!
そのまま身体検査が始まった。
ダウンジャケット、ズボンのポケットをみなチェックされた。もちろん、酒以外は、タバコにライター、財布と現金くらいしか持っていない。
「う~ん、アンタのね、犯罪性はまったくないんだけどね、一応通報があったもんでね、 『泥酔保護』 っていうかたちをとらしてもらわんといかんのよ」
はぁ!?
犯罪性がないって、あたりまえでしょ。酒飲んでただけなんだから。日本はアメリカと違って、公衆の面前で酒を飲んじゃいけないって法律はない。
私はもう、なにがなんだかわからないまま、パトカーに乗せられた。
無線に耳をやると、どうやら福岡県警に向かっているらしい。赤色灯とサイレンを鳴らしながら赤信号を超え、他のクルマたちを追い抜いていくのは映画みたいで気持ちよかった。
陽はかげってきて、夕日になっていた。
警察署の保護室に入れられる
福岡県警らしき大きな警察署に到着した。
「アンタはね、別に犯罪を犯してるわけじゃないんでね、留置場とかじゃなく、保護室に入ってもらうけんね」
といわれるがまま、保護室とやらに入れられた。
ポケットの中の酒もタバコもなくなっていた。警察署の保護室は、鉄格子、床はタイルに毛布を一枚敷いてあるだけで牢屋と変わらなかった。
こんなことになるのなら、居酒屋かパチンコ店にでも行っとけばよかった・・・・・・
警察署の保護室の様子
福岡県警の保護室に入れられた。3面は壁、1面にドアと鉄格子がある。他にはなにもない。
痛い。
とにかく痛い。
硬いタイルの床に毛布が一枚だけ。上向きでしばらく寝ていたが、背中と腰が痛くなってきた。
しょうがないので左を向いた。こんどは左肩と左骨盤が痛くなってきた。
なので、右を向いた。10分ほどすると、右肩と右骨盤が痛くなってくる。
上を向く。10分くらい(腕時計も没収されているので正確にはわからないが)で痛くなってくるので、左を向く。
また痛くなってくるので、右を向く。
また痛くなってくるので、仰向けになる。
ずっとこの繰り返し。
いいことを思いついた。うつ伏せになればいい。
仰向け、左、右、うつ伏せの4パターンで痛みを堪えながら過ごしていく。
しかし、もう限界だ。
なんで犯罪を犯してない善良な市民がこんな目にあわんとイカンとですか!
時々見回りにくる警察官に「どうしても痛い。どの方向に向いても痛い。どうにかならんですかね」と訴えると、「痛かですよね」と、毛布を2枚追加してくれた。
その毛布を下に敷くと、少しは痛みがやわらいだ。
これで眠れるかと思いきや、そうでもなかった・・・・・・
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