アルコール依存症の幻覚が見えてしまった体験談 閉鎖病棟脱走記(10)

アルコール依存症の幻覚が見えてしまった体験

アルコール離脱症状として、振戦(手足の震え)、発汗、うつ、それに幻覚幻聴、せん妄などがあります。

今回は幻覚が見えてしまった体験談をお話します。

●幻覚とは

正確にはアルコール幻覚症といいます。

長期間にわたる大量のアルコール摂取によって生じる精神障害です。多くの場合は、アルコールを中止ないしは減量後24~48時間以内に出現します。基本的にはアルコール依存症者に起こります。

厚生労働省e-ヘルスネット アルコール幻覚症より引用

いないはずの虫、小動物や小人が見えたり、それらが身体にはい上がってくるよう感じます。「小さな大名行列」が見えるのは有名ですね。さらに壁の模様が人の顔に変わって見えたりします。アルコール依存症者に実際に聞いた話では、壁のしみが魚になって泳ぎはじめた、日本兵が突入してきた、病室にオーケストラが来て演奏を始めた、松崎しげるが病室で歌ってくれた、吐血した中に大きなトカゲがいた、などの例があります。

●記事の内容

いろいろな幻覚が何回も見えた体験談、および警察の保護室では眠れなかった理由をお話しします。

●筆者筆者

 


メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。

※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします

警察の保護室の中

警察の保護室の中
警察の保護室の中

ここは福岡県警の保護室の中。

硬いタイルの上に毛布たった1枚で、どちらを向いても身体が痛く、眠れなかった。警察官を呼び、「どうやっても痛い」と訴えると、「痛かですよね」 と、毛布を2枚追加してくれた。その毛布を下に敷くと、少しは痛みがやわらいだ。

これで眠れるかと思いきや、そうでもなかった・・・・・・

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アルコール離脱症状で幻覚が見え始めた

アルコール離脱症状で幻覚が見え始めた
アルコール離脱症状で幻覚が見え始めた

10日くらい飲み続けた酒が切れてきた。手先は震え、脂汗をかいてきた。

ふと気が付くと、天井に直径30センチくらいの赤く光る円が見えた。それが、ゆっくりと左回りに回っていた

メガネもコンタクトレンズも酔って無くしていたため、保護室の中はぜんぶぼやけていたのだが、その赤く光る円だけはハッキリと見えた。赤いものが回っていたので、てっきり監視カメラだと思っていた。

しかしその円は、まばたきする毎に黄色になったり緑色になったりと色が変わっていくのだ。そしてまたまばたきをすると、円が横方向へ増えていった。まるで五輪のマークのように。円が5つになったり、7つになったりするのだ。

その時点で、「ああ、これは幻覚だな」と自覚し始めた。次々と色が変わる光る円は、とてもキレイだった。

小人の幻覚

7人の小人
7人の小人 出典:Amazonより引用

その数時間後に、脱走した広島の精神病院に戻ることになる。そして当然、保護室に入れられた。

ふと見ると、壁や天井に大きな英単語のつづりが現れた。誰か落書きをしたのか、部屋が新しいデザインになったのか、まだトンチンカンなことを考えて、近づいて確かめようとした。

まばたきするたびに、英単語が変わる。廊下に大きく「Apple」とかいてあり、しばらく見ていると「Dog」に変わった。一体全体どういうことなのか。

近づくと英単語が変化して、まるでディズニーの7人の小人のように変わったアルファベットが小人に変化して動き踊り始めたのである

壁じゅうに小人が現れ、ワルツのような踊りをはじめた。「あ、これも幻覚だ」と、やっと分かった。
これはなんとも楽しい幻覚で、ずっと見ていた。

「怖い幻覚を見た」と語るアル中が多いが、私の見た幻覚は楽しかった。

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幽霊に合ってみたい

亡くなったおじいさんのベッド
亡くなったおじいさんのベッド

話は少しズレるのだが、精神病院でベッド移動の際、昨日オジイサンが亡くなったベッドに私が寝かされることになった

今まで霊といういうものを見たことがないので、ちょっと期待して眠りについたのだが、何も出なかった。当時47歳の私は、一度も霊を見たことがないのである。

これにはどうも納得いかない。死ぬまでに一度で良いから霊というものに遭遇して、できればあるが3つほど願い事をかなえてほしい。

もちろん願いごとの一つは、「うつとアルコール依存症を治してくれ」だ。

福岡県警の夜の保護室は騒がしい

警察署の保護室の鉄格子
警察署の保護室の鉄格子

話は戻るが、とにかく、福岡県警の保護室は完全にむき出しの鉄のオリだった。鉄格子の一部が約30センチ四方だけ開くようになっていて、そこから水や弁当を入れることができる。

私は閉鎖病棟へ何回も入れられているので、そういった保護室には慣れている。そんなところに慣れているというのもおかしな話だが・・・・・・

警察署の保護室は保護室で、嫌なこともあった。

何か嫌かというと、夜中に警察に保護されてくる酔っ払いが何人も来る。ど素人で居酒屋で暴れたような酔っ払いばかりが警察に保護されて来るのだ。※泥酔保護についてはこちらを参照
酒に酔いすぎると警察に泥酔保護される!体験談 閉鎖病棟脱走記(9)

酔っ払いA「俺が何したとね!
警官  「アンタね、覚えとらんとね。
     居酒屋で暴れて壁なぐって壊しとるとよ通報があったとよ、しょうがなかとね

酔っ払いB「なんでこぎゃんとこに連れこまんといけんのんや。嫁をよばんかい!
警官  「今、連絡とっとるんじゃがね、嫁さんがほおっておいてってゆうて、話にならんとよ

酔っ払いC・・・・・・酔ってとにかくわめきちらしてうるさい。

こんなヤツらが一晩で5、6人は来た。おそらく博多の繁華街、中洲・天神で保護されたのだろう。

こちらは睡眠薬も酒もないため一睡もできず。とにかくそんな環境で8時間耐え、泥酔保護が解除された。しかし、「行方不明者捜索願い」が家から出されていた。そのなると「行方不明者保護」になるという。また追加で8時間か・・・・・・やれやれ。

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タバコの許可がでたが・・・・・・

タバコの許可が出る
タバコの許可が出る

とりあえずニコチン切れなので、タバコを1本吸わせてくれと頼むと、意外と「OK」だという。
深夜2時頃だろうか。県警建物外の灰皿の場所でタバコに火を着け、めいっぱい肺に煙を吸い込むと・・・・・・

・・・・・・とんでもないことが起こった。


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