救急病院は、点滴の落ちる速さを変えられなかった 閉鎖病棟脱走記(12)

点滴の落ちる速さが変えられない

私は警察署で倒れ、救急車を呼ばれた。

自分が患者として救急車に乗るのは初めてだった。救急車はあんがい乗り心地が悪く、ガタガタと揺れるため吐きそうになった。

(つづき)


我慢が限界のころ、救急対応の病院に到着した。わりと大きな総合病院だった。

その頃には、双極性障害(躁うつ病)の小発作(※)がバンバンに起こるようになっていた。

(※)

  • 大発作・・・・・・てんかんなどで泡をふいて意識がなくなり倒れること
  • 小発作・・・・・・意識はあるが、身体が動かなくなったりけいれんすること

倒れると危険なので車椅子に座らせられた。

10日ほど飲んでいなかった躁うつ病(双極性障害)のクスリのうち、発作が起きないようにするデパケンR錠(躁うつ病をおさえる、小発作の防止)とランドセン錠(けいれん止め)を出してもらえるよう看護師に頼んだが、なんのことだかわからないようだった。総合病院の看護師は、精神科の薬に詳しくないらしい。

薬をのめば発作が治まるのに、出してくれないものだから度々発作が起きて困った。

●筆者筆者

 


メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。

※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします

点滴を落とす速さを変えられない

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点滴の落ちる速さを変える
点滴の落ちる速さを変える

しばらくすると、点滴が始まった。なんの点滴かはわからない。それよりも薬をだしてほしいといったが、出してもらえない。

自分の身体のことは自分が一番わかるのだが。

とにかく、点滴は大嫌いなので、落とすスピードをいつも自分で速めていた。

いつだったか、瀬野川病院(広島一の精神病院)で2時間かけて落とす生食(生理食塩水+ビタミン)点滴のスピードをMAXまで早め、30分で全部落としたことがあったが、これはさすがに怒られた。

通常、点滴のスピード調整は上の図のような部品で行うのはご存だろう。「ポタ、ポタ、ポタ」を「ボタボタボタボタ」にする感じである。

ところが、福岡の病院では、上の部品をいくら触っても落ちるスピードが変わらない。どうなっているんだ。なぜかと不思議に思いよく見てみると、点滴袋が、なんと電子機器につながっていた。

点滴の落ちる速度が変わらない仕組み
点滴の落ちる速度が変わらない仕組み

たしか、このような機械だったと思う。

自動点滴装置
自動点滴装置
出典:グッドデザイン アワード より引用

動点滴装置
静脈点滴での自然落下式輸液流量調整機能を有し、使い方は一般の輸液セットを本体に装着し点滴する薬液量、流量、終了させたい時間をコントロールパネルで設定する。設定した時間になると滴下を自動的に停止し点滴の終了を報知する。

グッドデザイン アワード より引用

看護師がいちいちチェックしにこなくてよいので便利なのだろうが、患者には不便だ。どうにかスピードを上げてやろうとその電子機器をいじくっていると、看護師に怒られた。

点滴なんてメンドクサイことせずに、ポカリスエットビタミン剤でも飲んどけばよいのに。ああ、メンドクサイ。

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広島から福岡へ運転してくるだと!

救急病院のトイレ
救急病院のトイレ

トイレでまた発作が起こる

採血・レントゲン・脳CTスキャンなど数々の検査が終わった。

何も食べていないのに、また便意が起こった

車いすのままトイレに行き、便器にまたがった。やはりなにも出ないため戻ろうとすると、発作がはじまった。身体を動かそうにも、まったく動かないのだ

トイレの中で15分くらい悪戦苦闘しただろうか。どうにもならないので「緊急時呼び出しボタン」を押した。

看護師がやってきて、私を車いすに移乗し、ベッドへ運んでくれた。

広島から福岡へ車で来ると

広島から福岡まで車でくる
広島から福岡まで車でくる

そのころ、看護師がいった。
早朝3時から、広島のご家族の方が車でこちらへ向かってこられているようですよ。8時くらいに到着されるとの連絡がありました

やば・・・・・・なんで来るんだ。

また迷惑をかけてしまうことになる。

本来は、博多を経由し熊本の親父の家まで行く予定だったのだが、親類(だれだろう?)が広島から向かってくるなら、ココを動けない。

車を運転して高速道路で福岡まで来るなんてことは嫁や義母にはできない。

いったい誰が運転しているんだ、と思った。

くわしく聞いてみると、向かってくるのは、妻と義母、そして運転手は10才年上の義理のイトコだという。

運転手は、要するに赤の他人だ。

そんな他人が仕事が終わって、一睡もせずに福岡まで駆けつけてくれているという。

私はどれだけ人に迷惑をかければ済むのだ。かなり後悔した。


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