広島から福岡まで、妻と親戚が車で向かっているという。現在、早朝4時だ。
聞いてみると、広島から来るのは、妻、義母、車の運転手は10才年上の義理のイトコだった。運転手は、赤の他人だ。
そんな他人が仕事が終えて、一睡もせず福岡まで運転してくるという。アル中の私は人に迷惑をかけてばかりいる。悪いことをしたなと思った。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
病院に警察官が現る
点滴を落としながらアルコール離脱症状に耐えつつ、家族の到着を待っていた。
すると突然、2人の警察官が病室に入ってきた。
どうかしたのか聞くと「預かっていた荷物を返しに来た」という。福岡県警にいた時に、財布はもちろんのこと、電話番号のメモ、障害者手帳、タバコなどいろいろ没収されていた。驚いたのが、新品の25度ワンカップ焼酎まで返してくれたのだ。
病院のベッドで乾杯
これはありがたい！
警察官が帰ったあと、看護師にバレないようにすぐに焼酎をマクラの下に隠し、半分くらいを一気に飲んだ。左手に酒を抜くための点滴を落としつつ、右手で焼酎を一気飲みだ。
アルコール離脱症状が治まり少し楽になったが、それはただ単に本格的な離脱症状がくるのを先延ばししているにすぎなかった。
つぎに驚いたのが、小銭が6,000円以上あり、財布がパンパンにふくれあがっていたこと。なぜそんなに小銭がたまったのかというと。
いつもコンビニで酒・タバコを何十回も購入したのだが、その際いつも泥酔していた。
そのため小銭を上手に取り出せず（酒が180円であれば1,080円と出したいところ、その計算すらできないほど酔っていた）、しかたなくいつも千円札や万札で支払っていた。
そのおつりが積もり積もって6,000円を超えてしまった。
警察官は、プラスチック製で小銭1枚ごとにメモリのついた、いわゆる「小銭数え器」というのか、それを持参していた。昔の小売り商店などで使われていたやつだ。
しかし6,000円分の小銭は「小銭数え器」を容量オーバーしてしまい、数えるのに苦労していた。
妻は怒り心頭
午前１０時頃だっただろうか、看護師が「ご家族のみなさまが来られました」と、妻と義理母、運転手の義理のイトコの旦那さん、要するに赤の他人をつれてきた。
実は、泥酔していたせいで、両目のコンタクトレンズをなくしてしまっていた。
裸眼の視力は0.01しかない。視力検査での、あの一番大きな “Ｃ” の輪がみえないのである。目から指を15センチ離すと、すでにぼやけてしまう。なので、迎えに来た３人の表情はぼやけていてまったくわからなかった。
ただ、長年連れ添った、といっても16、17年だが、妻の表情だけは、彼女が発する怒りのオーラ、怒気、危気、雰囲気で、今どんな顔つきをしているのかは想像できた。
双極性障害(躁うつ病)の発作の嵐
約10日間、双極性障害のデパケンＲ錠とランドセン錠（けいれん止め）を飲んでいなかったため、ひんぱんに小発作が起こっては止まる、起こっては止まる。生きた心地がしなかった。手足すべてが震えていた。
病院はCTスキャンやレントゲンの結果などをコピーしたCD-ROMを作成してくれていた。（今どきはそうらしい。親切。)
精神科であれば、「双極性障害でデパケンやランドセンを飲んでいないから発作が起きている」といえばすぐに通じるのだが、ここの当直医や看護師には何回説明しても分かってもらえず、CTやレントゲンを撮らされた。ここが総合病院のため、当直医にそこまでの対応力がなかったのだろう。
10万円近くを支払い、我々は病院を後にした。
そして、広島へ向かった･･････
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