アルコール依存症のタクシー運転手!退院したら飲む! 閉鎖病棟体験談3-6

アルコール依存症のタクシードライバー

保護室に入れられ、ガチャンと鉄の扉を閉められる。その後、ガチャリと鍵も閉められる。

何回聞いてもイヤな音だ。

しかし、5日目に中間開放になった。

中間開放というのは、鉄格子から出され、昼間だけはデイルームで過ごせるのだ。

●筆者筆者

 


メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。

※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします

保護室でから中間開放となる

デイルームのテレビ
デイルームのテレビ

午前10時ぐらいか、看護師の足音がトントンと響いてきた。

金田一さん、中間開放になったので開放します

の声とともに扉の鍵がガチャっと開けられた。

やった。

保護室の閉じ込められて5日目、やっと中間開放になった。完全隔離から開放された。

これまでの4日間、96時間は長かった・・・・・・

中間開放になると、午前中は保護室から出て、デイルームで2時間ほど過ごすことができる。

テレビも見られる。

デイルームできるOT作業(作業療法)

  • MDに録音されている音楽を聴く
  • ミュージック・ステーションなどの録画を見る
  • 簡単なゲームをする
  • OT(作業療法士)による軽いストレッチなど
  • OTさんが持ってくるマンガや雑誌を読む

など、いろいろな気分転換ができる。

入院当初は保護室から出られなかった。そのため便器からの下痢臭がぷんとただよう牢屋で食事、というありさまだった。

もうそんなつらい思いをしなくてすむ。

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デイルームの午後

デイルームのマンガ雑誌
デイルームのマンガ雑誌

昼飯をたいらげると、また保護室に閉じ込められ、ガチャンと閉められる。昼1時、再び鍵が開けられる。その間20分くらいなので、なんのために閉じ込められるのか分からない。

午後も開放され、3時間ほど、デイルームですごす。ミヤネ屋を観たり、雑誌や漫画が読める。

3年前に入院したときは、少年ジャンプ、マガジンなどがボロボロにしらっちゃけ、表紙などがちぎれているヒドい有様だった。

ざっと本棚をながめると、それらは一新されていた。

少年ジャンプの最新号までが12冊。マガジンも同じくらい新品が揃えてあった。

りぼん、マーガレットなど少女雑誌はなかった。ふと、「ガラスの仮面」のラストシーンが気になった。

その代わり、女性自身が数冊置いてあった。

マンガで時間を潰す

週刊少年ジャンプのこち亀
秋本治先生作 こちら葛飾区亀有公園前派出所.comより引用

ジャンプは、その当時読んでいた「こち亀」「NARUTO」「銀魂

NARUTOは忍界大戦の終盤、皆で十尾をやっつけようとするあたりのところ。NARUTOが皆にチャクラを分けたりしてなんだかよくわからなかった。

懐かしいものばかりだった。ずっと続いていた負の思考スパイラルから、少しほど気分転換ができた

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精神病患者の輪に加わってみる

精神病患者たち
精神病患者たち

デイルームに、皆がより集まって話がはずんでいるテーブルが一つあった。加わってみた。

そこには、統合失調症の酷いのが1人。アルコール依存症が2人。覚せい剤が1人。

なにがなんだかよくわからずに入院させられたオジサン1人。

それぞれ中間開放になったばかりなのか、みな喜びで生き生きしていた。

私も雑談に加わって、時間を潰した。アルコールと薬物の患者は、依存成分が抜けて普通の人間に戻っていた。

その人たちとは話が合った。話しがはずんでいた。

4時になったらまた、保護室に閉じ込められるというのに・・・・・・

精神病院の保護室から大部屋へ異動

タバコの煙
タバコの煙

数日後、保護室から大部屋へ移された。

嬉しかった。

保護室だとタバコは一日4本限定、それが逆にニコチン不足で真綿で首を絞められるようにつらい。

しかし大部屋だと自由に吸える。

布団も地べたではなく、ちゃんとしたベッドにシーツがかけられている。カーテンもある。

朝6時から、夜の9時までテレビやマンガや新聞が見られる。

いろいろ自由になるので、とにかく嬉しい。

荷物を移動し、すぐさま喫煙所へ向かった。喜びのあまり、一気に3本も吸ってしまった。

気分が悪くなった。

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精神病院の大部屋

大部屋のデイルームには、正面の壁に50インチ大型液晶テレビが設置してある。誰もが観れるようになっている。

テレビ前に淡いピンク色のビニール製ソファが4つ並べられている。その後ろに、木製のテーブルが4つ、それぞれ同じく木製のイスが備えられている。30人はゆうにくつろげる。

あるテーブルでは若者と年配が将棋をさしていた。

またあるテーブルでは、患者の家族と親と思わしき者たちが、彼をとり囲んで談話していた。

お見舞いだろうか。私には絶対ない光景だ。

こう何回も入院すると、妻は呆れ果て、まったくお見舞いなどにこない。

少し羨ましかった。妻の顔は見たくないが、娘の顔が見たくなった。

精神病院の常連患者

精神病院の常連患者
精神病院の常連患者

ソファに座ってぼんやりとテレビを見ている、そのうち一人の顔に見覚えがあった。大部屋に移動で気分が上がっていたためか、自分から声をかけた。

「初めまして・・・・・・、かな」

「いや、前も入院してたでしょ」

やはり、向こうもこっちを知っていた。どうやら以前、同じ時期に入院してたらしい。

病棟は違ったが、院内の自助グループで顔を合わせていたようだ。

もちろんアルコール依存症だ。

K、と彼は名乗った。

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アル中のタクシードライバー

アル中のタクシー運転手
アル中のタクシー運転手

「私は4回目の入院ですが、Kさんは?」

K8回目

「やはりですね。院内AAで見かけたことありますよ」

K「こっちもね」

偶然、私とまったくのおない年だった。私は43才で4回目の入院、それはいかがなものかと思っていたが。

彼は、8回の入院。もう少しで2桁。レベルが違う。

同じアル中同士の仲間意識か彼とはすぐに意気投合した。細かに話しを聞いてみる。

彼はタクシーの運転手だそうだ。しかし、アル中のタクシーには乗りたくないものだ。

「退院したらすぐ『ひまわり』(病院のすぐ隣にあるスーパー薬局)でビールか何か買って、いきますか?(飲みますか?)」

K「いや、そうはしない」

精神病院を退院したら酒を飲む

アル中の入院患者の半分は断酒に励もうと頑張るが、残り半分はほぼ、退院して即、隣の「ひまわり」で酒を買って飲むのだそうだ。

何のための入院だかわかったもんじゃない。

入院によって、数千もあったγーGTPが一気に下がる、あるいは家族が平穏な時が過ごせる、そのための入院だろうか。

Kさんは、退院してすぐには飲まない。

その足でJRで広島駅まで出向き、おなじみの居酒屋でキンキンに冷えた生ビールを注文するのだそうだ。ビールのあて、つまりつまみ二品も既に決まっている、とのこと。

ビールと肴
ビールと肴

広島駅までの『45分間』は、断酒をする」そうだ。さすが、常連・・・・・・

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