私はアルコール依存症で精神病院の閉鎖病棟にいくたびか入院しました。
この記事は、精神病院で起こったことや体験談を書いたものです。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
精神病患者が医師を殴った!
「おいこらッ、ええかげんせいヤッ!!」
大きな怒鳴り声がした。
そして、診察室入口ドアをふさぐように男性看護師が立ちはだかるのを曇りガラス越しに見た。
つづけて3人の男性看護師が飛び出してきた。まるで燃えさかる炎から逃げるかのようにドアを開けて飛び出してきた。
デイルームで椅子に座ってテレビを観ている私の、ほんの50センチ左を走り去っていった。
看護師の誰かひとりが「I先生が殴られたッ!」“小声”で叫んだのが耳に入った・・・・・・
デイルームの正面には大型液晶テレビがある。そのテレビの左側に、面談室というか診察室の入口がある。
部屋の左側は看護師詰所に面している。
私はたまたま看護師詰所のすぐ隣、というか診察室の前のテーブルに着いて、テレビを観ていた。
そのため、診察室の騒動がまる聞こえだったのである。
精神病患者が医師を殴るのは、特に珍しくはない
声とくもりガラスの様子からすると、患者と医師との面談中だったようだ。
後ほど説明するが、I先生はちょっと物言いが柔らかすぎて優柔不断である。そのため精神病患者がイライラすることがあるらしい。その患者もイライラして、たぶん頭にきて先生を殴ったのだろう。
そばにいた看護師が、患者が逃亡しないように、曇りガラスの前にたちふさがった。
もちろん、ここの看護師は柔道をしているのでそのあたりは平気である。
で、3人の若手の看護師がベテラン看護師を呼びに駆け出して行った。
そんなところだろう。
患者が医師を殴る・・・・・・世間では信じられない出来事が、ここでは別段珍しくもないのだ。
医師と妻は昔、同じ病院の同僚だった
I先生(男性)
・・・・・・元はオペ看(手術室付き看護師)の妻の職場、総合病院で精神科医として働いていたそうだ。
背丈は160センチ、やせ型、メガネ、アラフォー。
いつもなよなよっとしていて、優柔不断。
私も何回が見たことがあるが、優しい、というよりは女っぽい感じなのだ。
先生「ええっと・・・・・・、こういう場合、んー? どうればいい?」
妻 「ええッ? それ医者が看護師に聞く? フツー聞く?それ」
の、ような優柔不断な問答が日常茶飯事だったらしい。
とにかくあまりにもなよなよしすぎて優柔不断なのだ。
殴ったYくんのほうは、黒縁メガネのぼっさり髪。おとなしくていつもデイルームから少し離れた廊下の椅子でテレビを観ている。人と喋るのを見たことがない。寡黙でおとなしい。
そんなおとなしい彼がコブシで殴ったというのだから、そうとう頭にきたのだろう。
「ええっと・・・・・・その様子じゃあ、退院はまだまだ先じゃねぇ。ええっと、どうする?これから」
の、ような会話がなされたことを想像するのは容易だ。
I先生が在籍していた、「総合病院に受診にくる精神病患者」は、ココ精神病院に比べたら症状はまったくもって軽い。
レベル1。
それがなぜか、広島県一の精神病院に異動した。
広島県一の精神病院ということは、患者もそれなりに魑魅魍魎があふれており、レベル90を超えるくらいなのだ。
精神病患者が医師を殴るなんてことは日常茶飯事だ。
殴られた医師が看護師に心配される
「精神病患者が医師を殴る」、こんなに面白いことはないため、さっそく家に電話した。
そしてさきほどの出来事を妻へ伝えた。
「だめよー、I先生を殴ったら。か弱いんだから」
あーあ、男性医師なのに女性看護師に心配されている・・・・・・。
広島県一の精神病院はどのくらいなのかと言うと。
後日外来に来たときである。
診察待ちのソファでアラフィフのオッサンがスマホで話をしていた。
オッサンは統合失調症っぽく、またいかにも生活保護風である。
「ワシ今度、『国会議員』になるけん」
「総理大臣とメシ食いに行くけえの」
と相手に真顔で喋っているのである。
そんなすっとんきょうな会話が普通である。外来なので症状が軽いハズだが、それでもそんな状態である。
あんたが議員になれるならぼくでもなれる。あまりにも可笑しくて、妻と久しぶりに笑った・・・・・・
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