私はアルコール依存症で精神病院の閉鎖病棟にいくたびか入院しました。
この記事は、精神病院で起こったことや体験談を書いたものです。
(つづき)
意識はあるのに・・・・・・急に体が銅像のように固まって動かなくなった。
私の身体は、タバコを吸うため座っていたベンチの右側へ倒れていった。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
アルコール性てんかんとは
一瞬、疑ったのは「アルコール性てんかん」だ。
アルコール離脱症状のひとつに、アルコール性てんかんがある。
急に気を失ってけいれんを起こすため、運転中など非常に危険なのである。
アルコール性てんかんの症状は以下のよう症状である。
アルコール性てんかんとはアルコールの離脱症状のひとつで、飲酒中断後48時間以内に出現するけいれん発作のこと。
厚生労働省 e-ヘルスネット アルコールてんかんより引用
飲酒を中断した際に出現するけいれん発作のことをいいます。
ほとんどがアルコールを断ってから48時間以内に発症し、アルコールの離脱症状(俗に言う禁断症状)のひとつと考えられています。
アルコールてんかんで起こるけいれん発作の特徴は、意識消失とともに全身筋肉の強直性、次いで間代性けいれんをきたし1~2分で終了します。
アルコール性てんかんは通常のてんかん発作と似た症状で、普通はアルコール離脱症状の比較的初期、48時間以内に起こる。
私は現在、アルコールが抜けて10日近くは経っている。どうもアルコール性てんかんと決めつけるのは疑わしい。
発作の症状
発作の初期症状
脳の中では言葉がぐるぐると回っているのに、クチが動かない。
言葉が口からでない。
声帯が鳴らない。
言葉が発せられない。
なんなんだ、この現象は。
けいれんか、発作か?
つづけて、身体のチカラがすべて抜けていくのを感じた。
座っているベンチの、右側に倒れていくのがわかった。
すうっと身体が右側に倒れていく。
倒れる先は、枠に木版をはめたベンチの金属部分だ。
まずい、このままでは頭を打つ・・・・・・
頭がベンチにぶつかる寸前に、肩を間に入れた。
肩がベンチに当たり、ガツンと音がした。
頭は打たなかった。
どうなっているんだ、私の体は。
予想だにしない、突然の発作だった。
けいれん発作が始まる
喫煙所の皆は話しをやめ、「おい、金田一さんどうした」「おいおい、大丈夫か」と声をかけてくるのが聞こえた。
そして周りがざわつきはじめた。
私はベンチに倒れて、そのまま仰向けになった。
そして太もも、腹、指先の筋肉がビグビグとけいれんし始めたのだ。
だらんと伸ばした腕の筋肉がピグッ、ピグッと引きつるたびに手のひらが上がる。
太ももがビグリビグリと引っ張られ、脚が飛び上がる。
腹部に電流を通したように硬直を繰り返し、その度に胸が持ち上がる。
まるで全身にEMS(微弱な電気を筋肉に流して刺激を与え、筋肉を鍛えるというフィットネス器具)をつけているような感じだ。
目はちゃんと動かせる。
周りのざわつきも聞こえるので、耳もおかしくない。
ただ、身体がけいれんし思ったように動かせないのだ。
アルコールてんかんではない、謎の発作が始まった。
“てんかん発作” はまずい
誰かが「看護師を呼べっ」と叫んだ。
意識ははっきりしていた。
瞬間的に頭に浮かんだのは
「『てんかん発作』 と思われてはまずい。運転免許がなくなる。再就職できなくなる」というものだった。
とにかく「てんかん発作で失神」はまずい。
身体中はビグビグとけいれんしていたが、脳内はフル回転していた。
この状況をすべて記憶しなければ、意識を失っていないことを証明しなければ・・・・・・
この後、病院を脱走し、10日以上連続して酒を飲み、10日以上双極性障害のクスリを飲んでいなかったことがある。アルコール性なのか双極性障害でせいかわからない、この時も発作が起こった。
⇒アルコールてんかんで倒れ救急車に|乗り心地が悪くて吐く 閉鎖病棟脱走記
突然の発作に対する看護師の対応
すぐに男性看護師が2人、喫煙所に駆けつけてきた。
私は仰向けになって全身の筋肉の引きつりを感じながら、天井の一点を見つめていた。
看護師のひとりがペンライトのスイッチを入れ、その光でぼくの目を照らし左右に振った。
「金田一さん大丈夫ですか、判りますか!」
声はでなかったが、意識はあるためペンライトの光を目で追うことはできた。
右に左に動く看護師の手、その先の光を無心に追った。
「担架を!」
もうひとりの看護師に命令するかのように言った。
6人の男性看護師が喫煙所にドタドタと乱入してきた。
そのうちひとりが、紺色のビニール製のような、布のようなものを持っていた。
なんだか大ごとになってきた。
これが双極性障害による発作だとは、もう少し後で知ることになる・・・・・・
看護師に担架で運ばれる
男性看護師のうちひとりが、紺色のビニール製のような、布のようなものを持っていた。
それを横目で見ていた。
広げると、たたみ1畳ほどの大きさだった。
どうやったのかは、そこのところは記憶にない。
いつのまにか地面に紺色ビニールが引き、私はその上に乗せられていた。
右側の、私の頭が位置する所に取っ手がついており、足先の部分、その中間の腰の位置する部分と、いくつものの取っ手がついていた。
左側も同じ。
6人の看護師が、それぞれの取っ手をもち、紺色ビニールごとぼくを持ち上げた。どうやら「即席担架」らしい。
看護師に担架で運ばれていった。
そのまま6人と担架の上の私は、喫煙所を出て、その前の詰所の中を通り、かけあしで診察室へ入ったようだ。
6人の先頭、担架の私の頭の部分を持っていた看護師が、詰所の看護師にぶつかり
「あ、すいません」
と言ったのを記憶している。
とにかく覚える。
気を失ったと診断されたらまずい。
診察室にて
てんかん発作の診察
そのまま担架ごと、診察室のベッド上に仰向けに寝かされた。
腕にビニールが巻かれ、血圧を測られた。
同時に、体温も測られた。
すぐに当直の、白髪の年配の医師がかけつてきた。
左手を引っ張られた。
「金田一さん、チクッとしますよ」
そういうと、左腕のどこかに注射を打たれるのを感じた。
筋弛緩剤
その時はもうけいれんが収まっており
「何の注射ですか?」
「筋弛緩剤ですよ」
と会話もできた。
筋弛緩剤を打たれてしばらくはけいれんもなく、なにげな会話もできたことから「特に問題はない」と判断されたのだろう。
「金田一さん、デイルームで少し休んでて下さい」
と言われ、そのまま自力で歩いてデイルームの窓際のソファーに座った。
ただただ、いまだに自分に何が起こっているのかその考えたが、理解できなかった。
あのけいれんのような、発作のような症状はなんだったのだろう。
状況を記憶に焼き付けるのが精一杯だった。
再び発作が起こる
2~3分休んで、自室に帰ろうと立ち上がった。
しかしあとで思えば「もっと十分に休んでおけばよかった」と後悔することになる。
立ち上がって自室に向けて3歩進む。
足が硬直し、身体が前のめりになった。見ていたデイルームの景色が、その下の床へと変わっていった・・・・・・
ガツン、と音がしたような気がした。
目の前が真っ白になり、チカチカした。
また発作で倒れた。
それからが地獄の始まりだった。
まとめ アルコール性てんかん?!急に発作が起きてけいれんする
後々考えると、「アルコール性てんかん」ではなく「双極性障害(躁うつ病)」による発作だった。
私には「うつ病」と「アルコール依存症」があり、その治療で入院していた。
しかし「うつ病」は治るどころかさらにひどくなり、「双極性障害」になってしまったのだ。
うつ病はSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)などで気分を上げてやれば自然と治る。
●うつ病が治った体験酸
⇒うつ病は治療で治る!抗うつ剤が不要になりうつ病が完治
うつ病はわりとクスリで治療しやすいものだが、双極性障害は上げると「躁状態」になってしまうため、治療が難しいのである。
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