アルコール依存症の入院生活のつづき、瀬野川病院(精神科)の閉鎖病棟の生活をお送りします。
精神科・閉鎖病棟の朝8時



閉鎖病棟では、8時から朝礼、そして続けてラジオ体操が行われます。
全員参加です。
パーキンソン病で足が不自由で車イスのコジマさんは、窓際のいつもの位置で待機しています。
アルコール依存症で神経麻痺し、大腿骨頭壊死でうまく歩けないヤナイさんは、早めにデイルームに来ていました。
担当の看護師が








おはようございます!
と大きな声で挨拶をします。
患者は、元気のないうなだれた声で
「・・・ござぃます・・・」
ととりあえず返事をします。
そして








今日は9月23日月曜日です!
と日付を言います。これをしっかり記憶しておかないといけない。



シャバから閉ざされて生活する私たちは、日付・曜日がまったく分からなくなります。
入院してしばらくすると、今日が何日で何曜日かさっぱり分からなくなるのです。
看護師は続けます。








今日のOT活動は、午前中はカラオケ、午後は軽スポーツです!
OT活動(作業療法)とは、簡単なスポーツやストレッチ、机上での簡単な作業で身体や頭のリハビリをすることです。暇つぶしになって良いのです。
精神科・閉鎖病棟のOT活動(作業療法)



OT活動には次のようなモノがあります。
- 軽スポーツ:5階の体育館で、ソフトバレーや実物大野球盤、バドミントン、卓球など
- デイルームでストレッチや筋トレなど
- 読書(OTさんが雑誌やマンガを持ってきてくれる。が、たった1時間なので十分に読めない)
- レクレーション:室内ボーリング(子供のおもちゃみたいなヤツ)、ダーツ(大人なのに磁石製)など
- 映画鑑賞:事前に多数決で映画を決定します。激しい暴力のあるヤクザ系や成人向けの映画はNG)
- 音楽ビデオ鑑賞:ミュージックステーション録画等
- カラオケ
などなどが日曜以外の毎日1回行われます。
これとは別に、アルコール依存症者は、月・水・金にアルコール学習会が1時間づつあります。
土曜日は院内断酒会、AAもあるのです。
⇒断酒会とは?ふたば断酒会、AA、広島だるま会など自助グループはどんなもの?
違法な薬物で入院した人たちもほぼ同様です。
こんな感じで、精神科・閉鎖病棟の日常は過ぎていくのです。
日曜日はまったくなにもないので退屈でしかたがない。暇つぶしに苦労します。
そしてアルコール依存症や薬物依存はたいてい3ヵ月クールで退院しますが、統合失調症や適応障害などの患者はもっと長い場合が多いのです。
洗面所で髪を洗わないで











夜中に洗面所で髪を洗わないでください!
などの注意事項があります。
この「洗面所で髪を洗う」気持ちはすごくよく分かります。
閉鎖病棟では、風呂に入れるのは週に2回だけなのです。
刑務所のことはよく知らないですが、それ並か、それより酷いのではないか。
髪を洗えるのは約3日に1回なのです。
エアコンが効いてても、9月はまだまだ暑い。
正常な女性であれば、髪を洗いたいでしょう。
なぜ洗面所で髪を洗えないのか。
それは長い間入院して伸びた長い髪が、排水溝に詰まるからです。
だから、坊主頭の男性がシャンプーしてても注意されない。
そして、洗濯場に小学校のトイレにあるようなモップ洗い用の流しがある。
そこで髪を洗うのは特に注意されない。
その後、








なにか質問がある人?
と聞かれます。
そこで大抵、
「あのー、うち、ご飯はB定食にしたのにA定食だったんですけど」
など、どうでもいい個人的な質問をする、空気が読めないおバカちゃんが出てくる。








ハイハイ、それは後で話しましょう。
と、適当にいなされます。
精神科・閉鎖病棟では毎日ラジオ体操



朝礼が終わったらラジオ体操。
OTさん(作業療法士)の出番です。
ラジカセから流れる、ラジオ体操の「♪チャン、チャーラ、ララ、ララ~」が始まると、患者達はお互いに手が当たらない距離に広がります。
狭いエリアしか移動できない患者にとっては貴重な運動の時間なのです。
張り切って頑張る患者もいれば、めんどくさそうに部屋に戻る患者もいる。
そういう患者は、デブ。
コジマさんも、身体が不自由だが、車椅子で一生懸命に手を動かしている。
私は、というと、「思いっきりラジオ体操」というのをやる。
文字通り、思いっきり上体を後ろにそらしたり、全力で跳びはねる。
ただの体操が激しい運動になるため、終わった後「ハァ、ハァ」と息が切れる。
日頃の運動量が少なければ、思いっきりラジオ体操はかなり効果があります。
結構な運動量になるので、お試しあれ。
ただし注意が必要なのは、体操には「急に身体を横に曲げる」「急に身体を反らす」など、急にやると筋を痛める動作があります。
なので、ウォーミングアップのための「ラジオ体操」のウォーミングアップに、身体を温めてストレッチなどをしておかないと危ないのです。
こんな感じで、精神科・閉鎖病棟の日常は過ぎていきます。
閉鎖病棟ではお笑い番組は必須



もし土曜日なら、(※広島では)昼からの「吉本新喜劇」は見逃してはならない。
日曜ならば「笑点」もはずしてはならない。
とにかく笑えるバラエティ番組ははずせない。
ただでさえ気分が沈みこむ閉鎖病棟では、笑えて気分が高まるお笑い番組は必須なのです。
精神科・閉鎖病棟でどうやって暇つぶしをするか 精神病院体験談(1-23)
- 瀬野川病院の閉鎖病棟では、朝8時に朝礼が行われます。そのあとラジオ体操です
- 狭いエリア内で何か月も過ごしているうちに、気分は滅入り、だんだん下がっていきます。こんな時にありがたいのが吉本新喜劇や快傑えみチャンネルなどのバラエティ番組です。そんなのを必ず観て笑って気分を上げるしかないのです。
- カラオケはわりと本格的な機械がレンタルしてあり、たぶんですが毎月アップデートされているため新曲が入っています。にもかかわらず、よく歌われるのは昭和の「高校3年生」だったりします
- とにかく生活がマンネリ化して辛いのです。アル中なら酒が抜けて1週間もすれば、あとは暇つぶしに苦労するばかり。退院してもよいのでは、と思います。
なぜ3ヵ月もいなくちゃいけないのか・・・・・・