夫や妻・息子が「アルコールハラスメント」をしていませんか?
アルコールハラスメントとは、酒が絡む迷惑行為、嫌がらせのことです。
(アルコールハラスメントは略して「アルハラ」とも呼びます)
厚生労働省によると、一般的なアルハラは以下の5項目として定義されています。
- 飲酒の強要
上下関係・部の伝統・集団によるはやしたて・罰ゲームなどといった形で心理的な圧力をかけ、飲まざるをえない状況に追い込むことです。 - イッキ飲ませ
場を盛り上げるために、イッキ飲みや早飲み競争などをさせることです。「イッキ飲み」とは一息で飲み干すことで、早飲みも「イッキ」と同じです。 - 意図的な酔いつぶし
酔いつぶすことを意図して、飲み会を行うことで、傷害行為にもあたります。ひどいケースでは吐くための袋やバケツ、「つぶれ部屋」を用意していることもあります。 - 飲めない人への配慮を欠くこと
本人の体質や意向を無視して飲酒をすすめる、宴会に酒類以外の飲み物を用意しない、飲めないことをからかったり侮辱する、などです。 - 酔ったうえでの迷惑行為
酔ってからむこと、悪ふざけ、暴言・暴力、セクハラ、その他のひんしゅく行為です。
家族に対するアルコールハラスメントはこのような行為をいいます。
- 酒を飲むと喧嘩ごしになり手が出る
- 飲まないと大人しいのに、酔うと妻や子供に暴力をふるう
- 手はださないが、物にあたる
- 暴言など、言葉の暴力をふるう
アルコール依存症に限らず酔った男性に多いのですが、まれに女性もいます。いったいどのような気持ちで暴力をふるうのでしょうか?



メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
アルコールハラスメントの夫の考え = 妻子は自分の所有物



アルコールハラスメントで多いのが、昔の亭主関白タイプ。妻や子供は自分の所有物である、という間違った認識を持っています。妻が自分の思い通りにならないと、暴力で言う事を聞かせることがあります。子供に対しても同じです。
●このようなケースも
- 「クラス会にいく」というと反対される
- ひっきりなしにラインがきて、何をしているのかを管理される
- ママ友とご飯をたべていたら「誰といるのか」と執拗に確認され、おちおち外出ができない
- 服を買いにいけばついてきて、「スカートの丈が短い」などいちいち注文が入る
など、行動を監視・支配しようとします。
アルハラ夫は妻は自分の所有物だと思っている



そのような人は妻や子が自分の所有物という考え方なので、気にくわないことや自分の意向に反する行動をとると機嫌が悪くなります。
飲むと暴力をふるう
アルハラ夫は、妻子が気に入らない行動をとるとシラフでも機嫌が悪くなります。さらに酒が入ると喧嘩になり、あげくの果てに手を挙げる、暴力をふるうといったケースが多いようです。このような行動は典型的なアルコールハラスメントです。
しかも夫が酒乱で、酔うと自分の感情をコントロールできまくなり、実家に避難しても探しに来るなど穏やかな日々を過ごせないケースもあります。
アルコールハラスメントの原因に、劣等感・コンプレックスがある



学生時代からなにかの劣等感があったり、会社でうだつが上がらないなどのなんらかのコンプレックスがある人。そのような人が酒を飲むとうだうだと自慢話をし、機嫌が悪くなると暴力をふるうことがあります。
例えば「起業に成功した実業家」や「格闘技で強い人」などはあまり自慢話をしませんよね。それは自分にしっかりとした自信があり、自慢せずとも誰にも負けないと思っているからです。
自信のない人ほど弱い者にあたる



劣等感やうだつが上がらない人は実力がないため、人に認めてもらうことに執着します。酔うとうだうだと過去の自慢話や、人の悪口、見栄話が始まります。酔いが進むにつれて自慢話が不満話になり、周りにあたりちらし、手を上げるのは自分の妻です。
自信がないため弱い者にあたる
とにかく自信がないため、「力は妻より強い」と思うことでどうでもよい満足感を得ようとします。男性は女性より力は強いので暴力で勝つのはあたりまえなのです。しかし、アルハラ夫は自己中心的な考えでそれすらもわからなくなっています。
実際にあったアルコールハラスメント:家庭内暴力
筆者が幼稚園のころの親父の話です。その頃、親父は毎日酒を浴びるように酒を飲み、ほぼアルコール依存症でした。急性膵炎にもなっています。
母がろっ骨を骨折



親父はかなりの酒乱でした。なぜか部屋に木刀までありました。まだ筆者が幼く理由まで覚えてないのですが、親父が酔ってなにかの理由で両親がケンカし、親父が母を蹴り飛ばしたのです。母はろっ骨を2本折りました。
灰皿を投げつけられ、額を縫う



また、別の夫婦喧嘩の際に、親父がガラスの灰皿を母に投げつけたのです。昔の透明なガラスの灰皿で、かなり重いヤツでした。灰皿は母の額にあたり流血し、何針も縫っていました。
ガラスが木っ端みじん
これも筆者が幼稚園のときだったのですが、また両親がケンカを始めました。もちろん親父は酔っています。何かで激昂した親父は、例の木刀を取り出しました。
そしてリビングのガラスというガラスをたたき割り始めたのです。「ガシャーン! ガシャーン!」と音がし続けます。幼い筆者と妹は寝室で、震えながら隠れていました。
次の日の朝リビングに言ってみると、窓ガラスも食器もすべて微塵に割れていました。トラウマになったのか、50年経った今でも覚えています。
アルハラ夫が家庭内暴力をふるう



これは私が30代で、娘たちが小学生のころでした。すぐ近所に飲み仲間がいて、これまた近所の鉄板焼き屋でよく飲んでいました。お互いの妻同士も仲が良く、息子さんも同級生で授業参観などによく一緒に行っていました。
平手ではなく拳で殴る
ところが彼は女癖が悪く、奥さんとちょくちょくケンカをします。そこまではよくある話なのですが、暴力になり、ケンカの度にグーで殴るそうです。平手じゃなくて拳で殴るのです。奥さんは何年か我慢したようですが、最後には離婚しました。
家庭内暴力・DVの統計



2001年にDV防止法が施工されましたが、相談件数は増加しています。
2018年に警察が把握した配偶者からのドメスティックバイオレンス(DV)の相談は前年より5027件(6.9%)多い7万7482件で、過去最多を更新したことが28日、警察庁のまとめで分かった。摘発件数も9088件で最多となった。
日本経済新聞 より引用
実際に増加してるかというと、筆者の周りでは減少しているようには感じます。ただ、「警察が積極的に介入」し始めたため、摘発される件数が上がっているのではないかと考えられます。アルコール依存症の症状でそうなることはありませんが、酔って家庭内暴力・DVを起こす人はアルコール依存症になるともっと酷くなります。
家庭内暴力・DVを防ぐには
夫や息子など、力のある男性からのDVを防ぐにはどうしたらよいでしょうか。
暴力をふるう側が怖がる事



断酒会でDVの被害者から聞いた話です。まず、暴力をふるう側は「絶対に反撃されない」「警察沙汰にならない」人を相手にします。妻や子供です。なので、反撃を恐れています。妻のほうが包丁を取り出すと、驚いて暴力が止まることが多いそうす。
本気の覚悟が必要
暴力を止めるには「飾り」では効きません。「本気」を見せつけると暴力を躊躇する場合が多いようです。そのくらいの覚悟が必要です。また、妻がすぐ警察に110番することも大事です。事が終わってからでは単なる夫婦喧嘩とみなされ「民事不介入」で警察は何もしてくれません。
その場で警察に電話すること
「今にも殺されそう。助けて」という110番であれば、警察は動かなければなりません。相手が凶器などをもっていれば、そのことも告げましょう。凶器があれば警察は動かざるを得なくなります。パトカーが駆けつけてきます。
アルコール依存症に多い、物に当たる行為



これはアルコール依存症にも多い行動ですし、アルコールハラスメントにもなります。普段はおとなしく、決して手をあげたりしないような人が、むしゃくしゃした感情を持て余し物にあたります。
筆者も酔っぱらって喧嘩になりますが、イライラし、酔ってはいても「男性が女性に手をあげてはいけない」という理性が残っていたのか、妻には手を挙げない代わりに、数々の物を壊してしまいました。
壁に穴をあけた
新築の新しい家に越した時。飲んで妻と喧嘩になりイライラして、しかし妻には当たれないため、物に当たりました。壁を殴ってしま、穴がぽっかりと空きました。
これは妻が次の日、ポスターで見えないように隠してはいました。しかし、家は3,000万円もした新築です。とても辛い思いで穴を隠したのでしょう。
それからも同じような事が何度かあり、家には4つの穴がカレンダーで隠されています。
携帯電話を壊した



まだガラケーの頃。飲んで妻と喧嘩となり、激怒して自分の携帯を真っ二つに折ってしまいました。そして次の日、酔いが覚めてとても後悔しました。
まだクラウドなど無い昔でしたので、知り合いの電話番号・メールアドレスがすべて消滅。思いつく限りの知り合いに聞いて、番号・メールアドレスの再入力、数500件。自業自得でした。
車のフロントガラスを割った
筆者は酔っていたため妻が運転する車の中で大喧嘩になりました。イライラして、助手席からフロントガラスへ右ストレート。パリンッと音がして大きなヒビが入ってしまいました。後日、車屋で見積もりをもらったら、妻のほうが激怒してました。右ストレート一発、10万円。
暴力がひどかったら



どんなことがあっても暴力はいけません。ましてやか弱い女性に対してなど、もってのほかです。配偶者からの暴力があった場合、以下の引用を参考にしてください。
DVや虐待など、親密な関係性における暴力から被害者を保護して救済する方法がある。地方裁判所から「近寄ってはいけない」という「保護命令」を出してもらうことができる。加害者がそれを無視して接近すれば刑事罰を科せられる。
読売新聞オンライン より引用
配偶者からの暴力などについて相談できる「配偶者暴力相談センター」やその機能を有する機関が全国に282か所(2018年10月1日現在)ある。
相談やカウンセリングのほか、被害者(子どもなどの同伴者を含む)の安全の確保、一時保護、日常生活の支援、さらには就労支援にもつなげることがある。
ここへ相談し、最悪の場合は一時避難することです。
妻や夫は人生のパートナーです



妻は自分の所有物でもなんでもありません、人生のパートナーです。どちらかが亡くなるまで、2人で楽しい人生を過ごしませんか?
まとめ アルコール依存症者のDV|アルコールハラスメントとは
家庭内暴力・DVのアルハラ夫は、妻や子供を自分の所有物と見ているか、劣等感・コンプレックスを抱いている可能性が多いです。
物に当たるのは、イライラして当たる先がないため壁を殴ったりする行為です。
アルコール依存症などで暴力が止まらず酷い場合は「配偶者暴力相談センター」に相談して一時避難しましょう。