私は4階に移動し、「小便臭い」個室で一晩過ごし、2日目の朝を迎えた。デイルームでニュースを見ていると、看護師に声をかけらた。
看護師「金田一さん、大部屋に変わりますので準備をしておいてください」
私(よかった・・・・・・これで小便臭い部屋とはサヨナラだ)
少ししかない荷物をボストンバッグに入れ、引っ越しの準備をした。
昼飯を食べた後、406号室に移動した。4人部屋だった。ドアを開け、左奥のベッドが空いていたのでそこに荷物を置いた。
メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。
※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします
小便臭い個室から移動
患者が飛び降りないよう、ロックしてありビクとも動かない窓から外を見ると、外は四角いドーナツの穴になっていて、対面の病室が見えた。下を見ると、R1病棟で保護室だった頃の喫煙所や庭が地上に見える。
足元のベッドの患者はすでに知っていた。喫煙所であいさつしておいたオオノくんだ。
私「あ、どうも。よろしくお願いします」
オオノ「どうも、同室になりましたね」
その隣は、タケノウチさんという50代のオジサン。軽い挨拶をしておいた。右側のベッドの患者にも挨拶しないと。
独り言がうるさい患者
その患者は、ぱっと見60歳くらいか。昔サラリーマンだった名残りか、カシオの安そうな銀色の時計をはめている。額から頭頂部はハゲあがっており、耳の横に残っている白髪は短く刈ってありる。メガネは銀色の遠近両用をしており、新聞を読んでいた。
声を出して読んでいる?のか?
「じきぬきてらえれにあアメリカこきでいあ日本にさたりつおあ・・・・・・」
「?」
ぼそぼそと、日本語として聞き取れない。たまに何か単語らしいものが混ざっている。念仏か?
「おかいりほりつり経済はのいぽきしたまうらえい・・・・・・」
目線は新聞に落ちているので、念仏を唱えているわけではない。しかし、記事の内容ではない。ずっと独り言のように聞こえる。
うるさい。
独り言「さきたてうりょにげがんとす総理大臣こぉりじぇんがそりよら・・・・・・」
なんだこれは。挨拶もせず、彼のしぐさに見入ってしまった。彼は突然ノートを取り出し、ペンでノートに何かを書き始めました。
何か、というのは遠くて見えなかったが、小さな文字がびっしり埋め尽くされていた。そこが文字で埋まると、ノートの上側や左右の余白に「何か」を書いていく。横、縦、方向は関係ないらしい。
ノートへの書き物が終わると、ベッドから降り、ドアの方を向いてタイル床に正座した。そして両手を上げ、そのまま前に伏せた。「アラーの神へ祈りを捧げる」そんな恰好だった。
10分くらい祈りを捧げただろうか。
私「なんだこれは!」
そういえば、ここは精神病院だったことを思い出した・・・・・・
「独り言がうるさい病気」の精神科患者
夜も9時を過ぎた頃、消灯になるため各自ベッドに入り、カーテンを閉める。タケノウチさんはピンクのカーテン越しに読書灯の明かりが見えるので、読書でもしているのだろう。大の大人が9時に寝るのは無理な話だ。
オオノくんのベッドは暗いので、眠ろうとしているのかな。
そこで予想していたこと、恐れていたことが始まった。
独り言「ぞまくりがいたやにのふぁくれみさのにたよら、いいむらげのほらきて・・・・・・」
始まった!
独り言「こじゆまれたのきぞしてのきあげりほみそいらてのくごさみおい・・・・・・」
昼より大きな声に聞こる。
うるさい!これは寝られん。どうしたもんだか・・・・・・
オオノ「うるさいッ!」
オオノくんが怒鳴った。ぴたりと独り言がやむ。
よかった、これで寝られる。
そして10分くらい経ったかどうか・・・・・・
独り言「こじかじたにこんらりあはりきれむはじなろけじゃたにそみならいえ・・・・・・」
また始まった。
タケノウチ「やかましいッ!!」
タケノウチさんがカーテン越しに大声で怒鳴る。
私「なんだこりゃ。こんなことが毎晩起こるのか。こりゃたまらん。こんな患者と同じ部屋はいやだ!」
隣の病室からも、へんな叫び声が聞こえてきた。
「イイイイイッ! ウォォォォォッ! イイイイイッ!」
隣も誰かが発狂している。そっちもか。
私は、妻が「イビキ対策」に準備してくれていた耳栓をボストンバッグから探し出した。なんとかしてくれ。イビキどころではない、夜の病室が大騒ぎなのだ・・・・・・
独り言がうるさい病気、ストレスが溜まる精神科 精神病院体験談
独り言を言うの統合失調症患者がおおいのですが、意味のあるちゃんとした日本語をいいます。
今回のような、意味不明な言語を発するケースは初めてでした。挨拶もできず、ただ独りでなに言い続けるばかり。コミニケーションすらとれず。
いったい何の病気の症状かすら分かりませんでした。
結局、夜がうるさくてどうしようもないので、タケノウチさん、オオノくん、私とで看護師に直訴し、彼を追い出しました。
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